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第11話
いいか、とりあえず風呂に入れ!
全部ちゃんと洗えよ汚ぇんだから!
潔癖症とかじゃねぇから、マナーだ!
一緒に入らねぇよバカが!
ただでさえ疲れる相手なのに、いちいち指示しないと動けない。三倍疲れる。
あまりにもいちいちすぎて、親の顔が見てみたいと初めて思った。
「ねー、そんなこと言わないでさー、兄さんも一緒に入ろーよー、見て俺のすげーから、ガン勃ちだから!」
風呂場から1人でガヤガヤなんか言ってる。こっちは腹をくくったとはいえ、予想外の事態で頭が痛くなってるというのに。
俺は風呂場に背を向けてボロくさいベッドに腰掛けた。
本当にいいのかな。バカだ童貞だって以前に、一応飲み友達みたいなもんだし、関係性に違和感が生じることなんか望んでない。
なし崩し的にそういう関係になって、なんて簡単に言ったけど、そうなったらそうなったで正直気まずいもんだった。
(大体にして、なんでまだ何もしてねぇのに勃ってんだよ)
そしてそれを大声で言うなと。
悶々とした気持ちと悩みで、出るのはため息ばかりだった。
まぁ、今更悩んでも仕方ないのだけれど。
「ねぇちょっと兄さんってば!」
声が近い。振り返ると体を拭きもせず、びしょ濡れのままの奴が立っていた。
自己申告通りの完成品が、随分自己主張していた。
「お前なぁ、体を拭け体を!」
俺も変に甲斐甲斐しく世話を焼いちゃうからよくないんだろうな。
わかっていながら、今もついバスタオルを掴んで手渡す。
そのときの手首を掴まれた。
「はーい兄さん確保ー!」
「はぁっ?何だよ」
「このまま風呂場にちょっこーです」
「あぁっ?」
ぐいぐい腕を引かれ、脱衣場に連れて来られる。
「はいはい、脱いで脱いで」
ヘラヘラしながらまくし立てる。
「一緒に入らねぇって言ってんだろうが!」
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