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第14話
「そりゃ、触られてりゃそうなるだろ」
生理的なもんだから仕方ないと自分に言い聞かせる。
俯き加減でいると、兄さんちょっと、と首筋あたりから声をかけられた。
「そんなに下向いてたらキスしにくい」
「あ?」
「キス」
ふと頭をあげる。洗面台の鏡の自分と一瞬目が合う。
後を追うように、奴の顔がすぐ目の前に現れた。
「キスしたい」
だいぶギラついた目をしている。理性はあるんだろうけど、あまり働いていないかもしれない。
肯定も否定もする間も無く、唇を塞がれた。
「っ、ん」
触れ合うだけのキスだったのが、徐々にディープになっていく。戸惑わずに受け止める。
そのまま腰を抱き寄せられ、すっかり腕の中に抱きすくめられた。
身長差ってデカイな。背高いと思ってはいたけど、いざ抱きしめられると包まれてるみたいで変な感じがする。
「兄さん腰すげぇ細いね……」
唇が離される。酸欠かな、頭がボーッとしてきた。
「無理に抱きしめたらさ、折れそうだね」
と言いながらしっかり抱きしめてくる。背中を撫でながら、抱き返した。
「折れねーよ、バカか」
「もー、兄さんバカバカ言い過ぎー」
「なんだよ、気に障ったか?」
もっと優しく背中を撫でると、それっきり何も言わなくなった。チョロい。
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