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第15話
「とりあえず風呂入るんだろ。ここでダラダラしてたって仕方ねぇだろ」
結局経験者の俺がフォローして、童貞を風呂場に誘導する。
奴のことだ、どうせ体を適当にしか洗ってないだろう。おろし金でもあったらそれで擦ってやりたいくらいだけど、さすがにないからスポンジで擦ってやって。
「兄さん痛い痛い!そんなゴリゴリやんなくていいから!」
哀願は聞かない。犬でも洗うみたいに、全開のシャワーと強引なシャンプーで髪を洗う。
「はいはい、このくらいで勘弁してやるよ」
前とケツだけは自分で洗わせ、流れ作業みたいに浴室から追い出した。内鍵をかけて、自分の体を洗う。
ドアの向こうで文句言ってたけど、洗い終わって出た頃には、ベッドに腰掛けてテレビを見ていた。
「おい」
声をかけると、やっぱり犬みたいに振り返って、遅ぇよー!と言っていた。
「どんだけゆっくり風呂入ってんのっ!俺の萎んじゃうとこだったじゃん!」
別にそれでもいいんだけどと思ったけど、口には出さない。
「はいはい、そりゃ悪かったな」
隣に腰掛けると、一気に抱きついて押し倒される。
「やー、もうムリ。俺もう我慢限界っス」
見上げた顔は相変わらずギラギラしてて、覚悟を決めてたはずの気持ちに、さらに決意を固めさせた。
(なんでこんな年上のおっさんに)
男に興奮するのかねぇ。
体を貸すくせに、他人事のようにそんなのことも思っていた。
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