22 / 28
第22話
「だってさぁ、その人世界で3番目くらいの金持ちとかいう人でしょ?ネットニュースで見たよ!番付に出てたもん!」
IT企業としては世界でも最大手の企業の取締役。 パソコンのOSにも絡むソフトウェア開発の云々みたいな会社、の社長。
後から知ったことだったとはいえ、普通ならお会いすることも出来ないようなVIPと一夜を共にしましたなんて、そりゃ信じられないよな。
「やっぱバレた?」
思い切った嘘をついたみたいな感じで誤魔化す。奴はゲラゲラ笑って、ありえねーを連発してた。
「俺のドキドキかえしてくださいよー、めっちゃ緊張してたんだから~」
童貞は涙目になりながら笑って、そのまま軽くキスしてきた。
「あーあ、兄さんマジおもれぇ。俺のはじめて兄さんに貰ってもらってよかったわ」
そんなにウケ狙ったわけじゃないし。
はじめて貰うとか入れるやつのセリフじゃねぇし。
思うことはいろいろあれど、今日この瞬間が、こいつの人生の貴重な時間になるんだろう。立ち会うのが俺でいいのかはよくわからないまま。
「まぁ、ゆっくりやろーぜ」
ほぐれた空気をそのままに、奴に強く抱きついて耳朶に軽くキスをする。
「入れて」
ちょっと気を遣って、色っぽい感じに囁いてみたけど、どうだろう。
奴の喉が、ごくりと音を立てた。
ともだちにシェアしよう!