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第22話

「だってさぁ、その人世界で3番目くらいの金持ちとかいう人でしょ?ネットニュースで見たよ!番付に出てたもん!」 IT企業としては世界でも最大手の企業の取締役。 パソコンのOSにも絡むソフトウェア開発の云々みたいな会社、の社長。 後から知ったことだったとはいえ、普通ならお会いすることも出来ないようなVIPと一夜を共にしましたなんて、そりゃ信じられないよな。 「やっぱバレた?」 思い切った嘘をついたみたいな感じで誤魔化す。奴はゲラゲラ笑って、ありえねーを連発してた。 「俺のドキドキかえしてくださいよー、めっちゃ緊張してたんだから~」 童貞は涙目になりながら笑って、そのまま軽くキスしてきた。 「あーあ、兄さんマジおもれぇ。俺のはじめて兄さんに貰ってもらってよかったわ」 そんなにウケ狙ったわけじゃないし。 はじめて貰うとか入れるやつのセリフじゃねぇし。 思うことはいろいろあれど、今日この瞬間が、こいつの人生の貴重な時間になるんだろう。立ち会うのが俺でいいのかはよくわからないまま。 「まぁ、ゆっくりやろーぜ」 ほぐれた空気をそのままに、奴に強く抱きついて耳朶に軽くキスをする。 「入れて」 ちょっと気を遣って、色っぽい感じに囁いてみたけど、どうだろう。 奴の喉が、ごくりと音を立てた。

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