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第5話『ダーリンだっちゃ』※
「とけい君ってば、ちょーお色けぇーっ!」
椋鳥は一瞬ノキャの言葉を理解できず「えっ?」と間抜けな声を発していた。
「顔真っ赤っかだしぃ涙目だしぃ何か震えててちょー可愛いぃー!ね、辛くない?」
「ぁっ、ちょっ、まっ……!」
ノキャは押さえていた肩から右手を外すと、人差指をツーっと下、熱を持ちズボンの中で薄く染みを作っているであろう椋鳥の中心部に這わせた。
「ぁっ……っ、あ!」
椋鳥の身体はビクビクと跳ねるがノキャの手が止まることはなく、意思と無関係に染みを濃くするそこを弄ぶ。
ゾクリと痺れる腰の感覚から逃れるようにノキャの腕を掴み、首を振る椋鳥はその瞳から大粒の涙を飛ばした。
「わぁー……泣かしちったー?」
「ぁっ、ゃ、やめっ……」
「とけい君ってば、泣き虫さぁーん?」
「うる、さっ……っ!」
グズグズと泣き止まない椋鳥をノキャはベッドにグッと押し倒した。いきなりのことに隠れていない目を見開いたがノキャはお構い無しに椋鳥の口を自分のモノで塞ぐ。
「ん!っ、ふっ!」
歯列を、口内をくすぐるように動くノキャの舌に身体を捩るもピッタリと付けられた唇に思考と体力を奪われ、突っ張り棒だった手はいつの間にかノキャ縋りついていた。
熱く絡まる舌にどろどろに溶けきった彼を見つめ、抵抗がないのを確認するとノキャは不意に眼帯のゴムに手を伸ばし、目元を覆い隠すガーゼと共にそっと外す。
「っ、は」
ぴちゃ、小さく水音をたてながら濡れる唇を遠ざけ、ノキャは甘くあまく椋鳥を呼んだ。
それに応えるように、彼は何の疑いもなく静かに涙に濡れた瞳を開き真正面を見た。
ノキャは椋鳥の顔にかかる髪をどこまでも甘やかすようゆっくりゆっくり指で梳いて横に流してあげる。
「わぁ」
「は、ぁ……」
歪む視界と溶けた思考の椋鳥は眼帯が外れていたことを知らずに相手を見つめ続けた。
隠されていた椋鳥の左目は、涙の膜に揺らぎながらキラキラと金色に煌めき揺れる。その瞳ギリギリを舌で舐め、溜まる雫を拭うと少しばかり擽ったそうに眼を細めていた。
「綺麗なめんめ。今日はもう隠しちゃダメ」
「ん、なに……」
「今、楽にしてあげる」
緩く甘く、そして優しく耳元で囁くと椋鳥のズボンのベルトを外し前を寛げた。
色濃く染みを広げ、下着の上までぬるぬると体液を浮かべ張り付いた布越しに彼のモノはクッキリと姿を現していた。
中からそれを取り出すと溢れた体液に濡れテラテラ光を反射した。しかしノキャは躊躇うことなくそれに触れ、裏筋を指の腹で押さえながら丁寧に扱く。敏感になっている今、このじれったい刺激は耐えられそうになく、ビクビク身体を丸め震える手で相手の手を止めようと突っ張った。
「ゃっ…だ………」
ボロボロ泣いて訴える椋鳥の顔に唇を落としつつ先端部の窪みや竿に触れ、更に追い詰める。
なにがイヤか問いかけてもいやいや言うだけでまともな答えはない。閉じた目蓋も震えるだけで心理は読めそうにない。
椋鳥の身体も思考も最早グズグズに溶かされ、何をされどうなっているのかなどとっくに考えるのを放棄していた。
ただ、ギュッとノキャのシャツを握るだけ。それだけで精いっぱいだった。
「かわいい」
一言だが、蜜を煮詰めたように甘くねっとり脳内に絡む言葉。ノキャは一度、椋鳥の唇にチュッと軽いリップ音を立てると二度目は深くふかくどこまでも丁寧に重ね合わせた。
「んぅ、ん…ふ……」
「とけぃ、く」
「っ、ん、んん…っぅ……」
気づけば前を弄りながら椋鳥の体内には指が数本埋め、こちらものアナも丁寧に広げていく。
「とけい君のここ、あっちくてぢゅうぢゅう吸い付いてくる。おいらの指、どろっどろに溶かされそう」
「んんっ、ぁ、はぁぁ…はぁ…」
グチと音を鳴らし、ノキャの指は一層奥へと進んで行き、内壁を抉るように撫でるように動き回り、まるで別の生き物のよう。
奇妙に動く指にも火照る身体は過敏に反応し、ノキャがある一点を引っ掻くと、椋鳥は堪らず悲鳴を上げながら果ててしまった。
「ひゃぁああ!」
「いいとこ、見つけちった」
訳も分からずガクガクと震えるも、ノキャの手は過敏になった中を擦りその一点を集中的に責めるだけ。
「やだ!やぇっ!まっ、っ!ぁああっ!」
椋鳥が二度目に果てるのに然程時間は掛からなかった。
「まだ、足りないでしょ?とけい君の、空っぽにして上げるから安心しるっちね?」
幼子に教えるよう耳元で囁き、椋鳥はそれにもさえビクリと反応した。
「…や、ゃらぁぁ……」
涙に汗に濡れぐちゃぐちゃになりながら震える椋鳥にチュッとキスをして宥めるように「だぁめ。まだ離してなんてあげない」と笑う。
それと同時に体内の指を抜き熱を持った何か、ノキャは自分のモノを無遠慮にあてがった。
「じっくり味わうんよ?」
「な、んん――っ!」
ノキャがクッと腰を進めると解れたアナに抵抗なく収まっていく。
「っは!んっ、ぁぁぁっ!」
ギュウギュウとノキャのモノを締め付けながら椋鳥のそこは熱く滾るモノを飲み込んだ。
「とけい君貫通ぅ。まぁ、根元まではイケてねってぃけども」
「っ、っ……」
ノキャはケタケタ笑いながらそう言った。
浅い呼吸を繰り返す椋鳥の様子を伺うもチュッと額にキスを落とし自らのモノを引きずり出すと強く最奥へと突き上げる。早く根元まで収めたいとでも言うように。
「はっ、ぁああ!だ!やっ!やぁあああ!!」
激しい動きにどうにも出来ずシーツを握り、経験のない快感に椋鳥は意識を飛ばしてしまった。だが、ノキャがそれを放っておく筈はなく、グリと一点を抉りながら挿入する。
「ん、あぁぁっ!」
「とけいくぅーん?おいら、まだだから、モーニンね?」
凍てつく氷をも溶かしてしまえそうな綺麗な笑みも、今の椋鳥には悪魔の微笑みにしか見えず、魂ごとどこかへ落とされる恐怖しかない。しかし椋鳥自身、未だ冷めやらぬ身体をもてあましているのも事実。
ゆるりと動かされたノキャのモノに、その身を委ねるしか術はない。
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