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第6話『よっす☆』※

異物感を覚え椋鳥はゆるりと瞼を開け二度三度瞬きを繰り返した。 未だボヤける視界で何時か確認しようと携帯まで手を伸ばすが、いつもの場所にそれはなく、なんで?と疑問に感じる。顔を上げ身体を伸ばし、今度は別のところの異変に気づく。 有らぬところに異物を感じ、向かいから聞こえた「……ん」と言う自分以外の声に体が固まった。 「あ。とけい君、モーニンしたぁ?」 寝起きだからかやたらとたらたら喋る相手、ノキャは片手を伸ばし顔を上げたまま固まっている椋鳥を気にせず抱きしめた。 「ね、おいらのがまだ入ってるの、ハッピー?昨日は気持ちいっていーっぱい言ってくれたから、めっちゃきっぽよー?」 にこにこ笑っていう。その言葉にビクッと体を跳ねさせ、拍子にアナをキュンと締めてしまう。椋鳥の反応に「体で返事するなんてぇー」と更に楽しそうに笑った。 「とけい君、寝たからへーきだよね。もっかいヤろ?」 ゆるる…腰を揺らしたノキャに、意識を失う前の行為を思い出してしまい吐息を漏らしてしまった。 「ふぁ!こっ…だめっ…ん、ふか…ぃ……」 気づくとノキャに腰を捕まれ上に股がる様に乗せらていた。 謂わば騎乗の体位で中をグチッグチュ突かれ、掴まれている腰もグッと落とされ根元まで入る。はぁはぁ浅く呼吸をしていたが仕舞には椋鳥は力なく彼の胸元に前のめりで倒れてしまう。 「も、だめ……ね、おねが……やぁ……」 息も絶えだえに訴え首を振る。 「やぁ、でちゃ…はぁ…だめぇっ……」 「とけい君、なんででちゃうのいやいやすんのぉ?」 「はぁぁ…だめ…からだ、びくびくしちゃ、から……」 「あひゃっ!体がびくびくしちゃうの嫌なら、おいらと一緒におち●ち●握って、でないよーにしよっ!ね、いい考え!」 腰を止め、なんとか椋鳥の身体を起こしキュッと彼のモノの根本を握るノキャ。浅く呼吸する椋鳥は自分に向けられている意地悪な提案と甘い笑みの判断がつかず、震える両手で自らのモノを握った。 「んん……これで、いい?」 「ふひひっ!そう。とけい君いい子」 愉しげに笑い椋鳥の頬を一撫ですると腰へと戻し、止めていた行為を再開した。 白濁を吐き出し楽になるはずだった身体は自ら塞き止めてしまい、余計に辛くなるが快感が脳を支配している今、その事に気づくことはない。 「ぁあっ…は、ぁぁ、はぁ……もぉ…むり……」 「おちんちん止めてるから無理じゃないよ。ね、チューして? とけい君、ちゅー」 「ちゅ…ん……」 ノキャの胸元に力なくペタリと乗せていた頭をゆっくり持ち上げ、ニコニコ笑うノキャの唇に重ねる。 従順な椋鳥にいい子と告げ、熱い舌を使い息を絡め取っていく。 自分で自分を追い詰めていることに椋鳥は気づかず、イクことも許されない身体はガクガク震えた。 そんな椋鳥の様子にノキャが満足し握っていたモノを解放したのは気を失う少し前で、漸く許された今は、安心したように目を閉じ穏やかに呼吸を繰り返していた。 「おいら、とけい君気に入ったっちー!おいらでいーっぱい感じてね」 チュッとキスをするとベッドから降りお風呂へと向かった。 ぴちょん…鼻の頭に冷たい水を感じ、浮上した意識に瞳を開くと泡ぶろの中に身体は消え、知らない――いや、ノキャの手が時折泡の隙間から見え隠れしていた。 「ふろ……?」 「ん?とけい君起きた?もう上がろうと思ってたんだー。あっちくない?」 何事もなく話してくる相手に戸惑うも、最後の質問にはなんとか相槌を打てた。 ノキャに支えられシャワーを浴び風呂場へ出ると、真新しいふかふかのマットに座らされわしわし柔らかなタオルで水滴を拭われる。その内に眠気が襲ってきて、目蓋はなんども降りて来る。あらかた拭き終わったのか、今度はタオルから自分のではない服を頭から被せられ、なんとか袖に腕を通した所までは意識があった。 「下着は新しいの無くなっちったからなしねー」 「ん……?うん……」 何も考えられず素直な椋鳥に「かわい…」と呟き手早く自分も服を着る。部屋に戻るのかと思えば、横抱きをしリビングへと連れて行く。広々としたソファーに彼が目を覚まさぬようゆっくり下ろした。 「腹ペコっしょ?夕ご飯作るから、テレビ見て待っててねー」 テレビを点けリモコンを渡すと、ノキャは料理に取りかかるため離れてしまう。 音声が子守唄の様に耳に入ってきて、ガタンッ、リモコンは椋鳥の手から離れ落ちて行った。 ノキャが炒飯とスープ、野菜炒めをテーブルに並べ彼の元へ向かうとソファで無防備に眠りについてることに気付き思わず笑みが深くなっていた。 当然のように正面にしゃがみ込むと頬に触れた。 「とけい君、起きて?おいらの膝に座って、ご飯食べよ?」 「……ん…ぅん……?」 「抱っこ?」 もぞもぞ両手を伸ばす椋鳥に問いかけるも返事は特にない。 しかし向けられた手は戻されることなく現状維持をしているため、首に回させ軽々と抱っこした。 テーブルまで来るとそのまま膝にのせ、夕飯を食べ始める。 「とけい君、お腹空いて夜中に目ぇ覚めちゃうよ?あーんして」 「あ……ぁむ……ん?おいしい」 「おいし?よかったね」 おいしいご飯に少し覚醒したらしい椋鳥はもっと欲しいと彼の袖を引っ張った。 何度も繰り返し、最後の一口を食べ終えるが声をかけられ、反射でまた「あー」と口を開く。 「はい、あーん」 「あー…んぅ?」 スプーンで口に入れられた何かは口一杯に甘い香りととろける味がして、唇に次の一掬いを当てられるたびにパクパク招き入れた。 杏仁豆腐だった。 「はぁい。これでおわり」 「ん……おいしかった」 至福の時に身体からは力が抜けきり、背もたれ基ノキャに寄りかかって一息つく。 お腹には緩く腕を回され、程よい密着と体温を感じられ椋鳥の思考はまた深みへ落ちてった。 「おやすみ、とけい君」 最後に聞いた声は、シットリと甘いモノで、今までに聞いたことのないくらい安心感があった。 .

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