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第8話『今日のお仕事』
ある場所までバイクで送られた椋鳥は、持ち主のノキャと共に建物の中へ歩いていく。
時折足から崩れそうになる椋鳥を笑顔で支える彼は、これから行われることが楽しみでならないと満面の笑みだ。
助けた代わりに、埋め合わせはもらうよ?
泣いたせいで更に時間はおして、急ぐ椋鳥は話し半分で了承してしまい、なら直ぐに埋めてよ。と言われ今現在に至る。
このピンクにあれを見られるのか……
足はさらに重くなるが、目的の場所に着いてしまった。
ぎっ、と扉を開けると同時に頭を下げて叫ぶ。
「ナギさん、みなさんも遅れて申し訳ありません!」
奥に進むと広い場所に多くの人とカメラがあり、現在は別の人の写真撮影が行われていた。
モデルはいつか見たフリルのたっぷり付いた服を着て、ゴシックな家具やあわいカラーのぬいぐるみと一緒に撮られている。
そう、ここはロリータ雑誌の撮影所。
椋鳥は彼女たちと同様フリルの付いた服を着て写真を撮とられるモデルの1人だ。
「むぅったら、やっときたのねぇ?この子撮り終わるまで、ちょっと待ってて」
後ろ姿でもわかるガタイのいい男性はカメラから視線を外すことなくそう言うと、パシャパシャと撮影とモデルへの声かけを暫くして、くるりと振り返り椋鳥に声をかけた。一人でない椋鳥に「あら?」と疑問の言葉を投げ掛ける。
「ナギさん、重ねて申し訳ないんですが、見学したいって着いてきちゃって……今日だけお願いします!」
「おはりゃッピー!ノキャですよろしくぅ」
「貴方いい顔してるわね。一緒に写ってみる?」
そう言う本人も負けないほどいい見た目なのだが、中身は完全にオネェ様である。
「は?ナギさんなにいっ」
「おいらモデル初ちょーっせん!よろしくお願いしますー!」
ぴょんっと跳ねお辞儀したノキャは丁寧に返事をした。
ノリのいい子ねぇ。カメラマンのナギは洩らすとノキャはスタッフに連れられ着替えに行く。
この様子から、先ほど通話していた相手と気づいていないことが分かった。
「ナギさん、いいんですか?」
「助かったわよぉ~、実は今日、むぅと一緒に撮る筈の子が一人風邪引いちゃってキャンセルだったのぉ」
「あぁ、そう、なんですか」
それより、むぅも早く着替えて来て!時間ないのよ!!椋鳥は急かされ、慌てて試着室に向かった。
今日撮影する服を見せられ、一着目を渡され着、化粧をされ髪をセットして完了。この作業をあと何十回と繰り返す。だが、椋鳥にとってこれは苦でなく楽しみだった。まるで別の自分に慣れた気がして。
カツン、カツン…とヒールブーツを鳴らしシャランと黒のレースつきスカートを揺らす。隠していた金の目だけを今は見せた髪型にしていて、日本人であることを忘れさせた。
「今日もむぅはばっちりね」
満足そうに笑う相手にニコリと妖艶に微笑みカメラの前に立つ。
この場のトップを務める彼。凛とした空気が広がりモデルを始めスタッフらも椋鳥の姿に目をそらせなくなる。
カシャ、カシャとシャッター音が鳴り響き、一枚ずつポーズを変えていく姿にまたカメラマンを魅了した。
「さっきの子どう?準備は良いかしら」
ナギがそう言うと「確認します」スタッフの一人がスタジオから駆け出ていった。
数分待つと、キィィと扉が開きカツンカツンと椋鳥と似た靴音が響く。そして、誰かの息を飲む音がホゥと吐息の漏れる声がした。
「髪型に時間がかかってしまって!お待たせ致しました」
「っ!」
「まぁ!なんて素敵なのぉ!貴方ウチの専属モデルにならないぃ?」
スタッフの声に、ゆっくり伺い見た椋鳥はノキャの余りの変貌に驚き息を飲み、ナギはきゃあきゃあハシャイだ。ピンクの長い髪は色をそのままに大きめなリボンで結われて、椋鳥の衣装と合わせたゴシックなそれに身を包んでいた。
化粧もしているが、元が良いためさらに見るものを放さない。
「おいらもっとかっちょよくなっちったー!」
勢い良く両手を上げ万歳をしたノキャは一瞬で雰囲気を変え、見惚れていらたスタッフたちはハッと気を取り戻し動き出す。ナギに言われ彼もまた椋鳥の隣に移動した。
ちらっと隣を見てにこにこ笑うと、不意に椋鳥の薄いレースの付いた手を持ち上げ甲に口づけた。
「っ!」
「とけい君が可愛すぎておいらのおっきしちったぁ」
「なッ!」
グッと密着し、服越しに相手の固くなったそれが押し当てられた。熱さを感じる程のモノに体が勝手に震える。
その間もカメラのシャッター音は続き、撮られ続けた。
「次は―」
ナギの指示に従うが、傍らでぼそぼそと耳を擽るノキャの声に椋鳥は全身の熱が上がっていく気がしていた。
「このお洋服ねぇ、おいらにくれるってさ。だからそのお洋服も貰って、お遊びしよーね?ここじゃ出来ないえっちぃこと」
「おまっ、なにいっ…」
「例えば、おいらのおっきくて熱いのが、とけい君の後ろのちっちゃいアナにズッボズボ埋まって、ぐちゃぐちゃにかき混ぜて、あんあん啼いちゃうくらい良いこととか、可愛いお口でおいらのをくわえたり、とけい君が泣いちゃうくらい酷いこととか。いっぱい、しようね?あは、耳まで真っ赤っかだぁ。かわぃ」
あっちにこっちに動きながら、いつも以上にとろとろと絡む卑猥な言葉に椋鳥の頬はチークではない紅に染まっていた。
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