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第2話 ハハ

「ちゅうちゃん、実はお母さん……お付き合いしてる方が…います……!」 中学3年生、受験の真っただ中に、精神的負担の大きいそれを告げた俺の母さん。 ……流石母さんだな!って思った。 「知ってるよ。何再婚するの?」 「え!!!!何で知ってるの!!!???」 「……」 はい、これはオーバーリアクションではなく、うちの母は本当に驚いている。 子供には秘密にしていたんだろうけど、俺からしたらもう結構前から知っていたし。 ルンルン綺麗な格好して出かけて行けば、頬を赤らめて嬉しそうにスマホで話してれば…あぁ誰かつき合ってる人でもいるのかなーとか思うだろう。 しかし無邪気で鈍感な母は、バレているって気がついていない。 俺が小学生の頃、父さんが病気で死んでから女手一つでここまで育ててくれた……のがマジ奇跡っていうくらい母は天然無邪気な性格だ。 母は料理が苦手で下手で、作ってもびっくりするくらい不味い。 結果お手軽で美味しいスーパーのお惣菜や、冷凍食品を食べて育ってきた俺。 小さな頃から掃除も洗濯もしてきたけど、料理は俺も得意ではない。 生きるために仕方なくしているって感じ。 母は節約も下手で、コンビニで普通に牛乳を買ってきたりする。 それなのにこのスマホ画面を見せるとアイスが貰えるのよ有難いわね!ってウキウキしながらお店に交換しに行ったりするのが面白い。 そんな我が家がなんとかやっていけたのは、父さんが残してくれた保険金のおかげだ。そのお陰で幸いお金にはあまり困らなかった。 ……もしもの時の保険って、本当有難いって思う。 「あ、でもね!まだそれは先々の話だから。でも今度、ちゅうちゃんも一緒に皆で食事とかどうかなぁって思って」 「……うーん……」 「あのね、(いつき)さんとってもいい人なのよ?ちゅうちゃんに会いたいって言ってくれてるんだけど」 「わかった……じゃぁさ……受験が終わってからでいいかな?」 「え……あ!あーそうね!それね!それそれ!もちろん受験終わってから!」 …… 今絶対俺が受験生だってこと忘れてたな、この母め…… そう思いつつも、こんな無邪気な母は愛らしく大好きな自分がいたりする。 息子の俺が言うのもなんだけど、母さんは綺麗だ。 大事に育てられてきたせいで、性格も擦れているところがない。 なんでも前向きに考えてくれて優しいんだ。 で…ちょっとアホだけど憎めない愛嬌がある。 …… 斎さんも母のそんなところが気に入ったのかな……

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