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第6話 ガッコウ

そんなことがあってから、俺たちは学校では一切他人のように過ごした。 関わりたくないって言うのは、何となく俺にも理解できるからだ。 今まで他人だった奴を急に兄だなんて…弟だなんて周りの奴に言えない。 でもまぁ同じ学校で同じ学年だけど、B組とG組で離れていて階も違うので、埜と校内で出会うことはほとんどなかった。 ……でもどうしても周囲から聞かれることは当然あるわけで、「景森」という苗字の転入生の俺にクラスの何人かは興味津々だった。 「ねぇねぇ、景森って苗字珍しいけど、景森埜くんとは知り合いなの?」 「え、あぁ……ない……よ」 「遠い親戚とかさ、そんなのじゃないの?」 「あー全然ないから……」 本当の事を言ったらヤバいんだろうと思い、否定し続けていたけど、質問してきた奴らが皆…… 「あー……だよね」 「やっぱり他人かぁ」 と、すんなりと納得してくれた。 な、何だかちょっとムカツクのはなぜだ。 数日経つと、そのうち景森埜に関する質問をしてくるクラスメイトはなくなった。 ……平和だ。 基本地味で目立たない俺だし、そりゃあかの他人だと思うよな。俺もそう思う。 俺はクラスの端っこにいて、片足だけクラスの輪の中に突っ込んでいる感じの立ち位置が一番心地よい。 あれから「景森埜」について調べてみた。 俺全然知らないって言ったの、本当ゴメンって感じの人気ぶりだった。 とあるメンズ雑誌の専属で、最近はメディアにも進出しているらしく、若手の中でじわじわと人気がでてきているモデルの一人らしい。 ぶっちゃけCMにも出てた。 爽やか系飲料水のCMに、可愛い女の子と一緒に出ている相手の男子は埜だった… 俺……何回も見たことあったわー。 だってCMの爽やか君と新しくできたおっかない弟とはイメージ全然違ったし… 何よりも母さん何も言ってなかったし!!! これ大事だろ!!! が、しかーし! そもそも母さんがこれを把握していたかも疑わしいので、責めることができないのがもどかしい。 弟に出会った初日早々嫌われたらしい俺…話しかけるのも何だか気まずくて、若干避けている自分がいたり……でもって当然向こうも避けてる気がする。 「……はぁ…何だかなぁ」 教室の自分の席に座り、ぼーーっと窓の外を眺めてだらしないため息をついた。

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