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第12話 ジジョウ

…… 仕事の予定が変わり、早く帰ることができたと斎さんから説明された。 リビングには散乱した洗濯物、肉や野菜などの食材は出しっぱなしで、全然進んでいないカレー作り。 外はザーザーと、雨が降り続いていた。 …… とりあえず埜は、斎さんからげん骨をもらっていた。 そりゃそうだ…あの現場を見たらどうみても埜が加害者だ。 内容を聞いても悪いのは埜だ。 リビングの椅子に俺と埜……隣同士に座って事情を聞かれた。 目の前の斎さんは複雑そう…… 息子といっても俺は本当の息子じゃないし、まだ一緒に住むようになってから日は浅いので、どう俺を叱ったらいいのか戸惑っているようだった。 でも埜が全面的に悪いことを知ると、ホッとしたように安堵の表情を浮かべている。 今の俺は着替えて違う服を着ていた。さすがに上半身裸で話はできない。 …… よれよれのパーカーは、本当によれよれの伸び伸びになり、破けてしまった今……さすがに着ようとは思わなかった。 何年も着て洗濯も沢山して、生地自体が劣化していたのだろう、綺麗に裂けた…… 裂けたのがあまりにもショックで衝撃的で、男のくせに泣いてしまったのは、マジ恥ずかしい……クソ。 「はああぁ……埜…お前なぁ。いくつになったんだよ」 「……」 「ガキ」 「……」 「しかも中也くんの着ている服が気に入らないからって、脱がすことないだろ」 「だって……マジダサい」 「……」 ダサいって何だよ… ダサい… それだけで俺のパーカーは、あんな可哀想な状態になってしまったのか… 「まぁ…埜の言いたいことはわかるけどなぁ」 …… ??? わ、わかる? 斎さん??今わかるって言った? 何どうゆうこと? ポカンと思わず斎さんの事をガン見していたら俺の視線に気がついたのか、ハッとした斎さんは恥ずかしそうにコホンと咳ばらいをした。 「つか、埜……お前だって数年前までダサい言われてたんだから、お前がそんなこと言う資格もないだろ」 「!」 「え」 ポカンと思わず隣に座っている埜をガン見する。 その顔は赤くなっていて、羞恥が見て取れた。 「お前はこっち見るなっ!!」 おおー! 本当なんだ! 超恥ずかしそうで、耳まで赤い。 しかしイケメンが赤くなると、ちょっと可愛くなるものだと内心ニヤニヤしてきてしまう。 「おまっ!ニヤニヤすんな!」

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