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第13話 アッカ

……内心じゃなくて、普通にニヤついてしまった。 それくらい隣で赤くなり、焦っている埜の姿が可笑しくて急に身近に感じられてしまったからだ。 あはは……数年前まで埜もダサかった?そうなの? 今からは想像もつかないけれど、それを聞いて心が少しホッとする。 「……あ、そうだ俺のこと、お前って呼ぶのやめてくれる?」 「はぁ?」 「なんかいつもお前呼びされるのムカツクから、俺ちゃんと名前あるし!」 「あーそれは僕も思ってたよ埜。中也くんに対していつもお前呼ばわりしていて偉そうだもんな。今回の件もそうだけど、きちんと謝りなさい」 「……はあぁぁぁ!ハイハイすみませんでした!!ごめんなさいっ!これでいいだろっ!!」 テーブルをドンと叩きながら、その謝罪セリフ…… き、気持ち込もってねーー!! 埜は吐き捨てるように言って、そのまま二階の自分の部屋に行ってしまった。 「埜!待て!!」 斎さんの言葉に返事も振り返りもしない。 あーあ…… 更に俺たち兄弟の関係は悪化してしまった。 怒らせちゃったけど……俺だって怒ってる。 「中也くん、気分悪くさせちゃったね。ゴメンね……パーカー駄目にしちゃって……」 「いいえ、大丈夫です。俺の方こそすみません。俺着るモノとか全然気にしなくて…これから気を付けます」 「あー!それ気にしないで!あいつは本当…自分の事棚において、中也君にあんな酷いこというから…あいつ小学の時に友達に私服をダサいって言われて傷ついたことがあってさ。それ以来…まぁモデルの仕事始めたのもあってか、やたら服装に厳しくなっちゃって」 「モデルの仕事してるんですよね。凄いですね」 「スカウトされたのがきっかけで、軽い気持ちではじめたんだけどね。ちょっと評判良かったみたいで続けてるんだよ。まだ高校生だから勉強に支障のないようにって言ってるんだけど、最近は忙しくなってきて……中也くんとも予定が合わなくて全然会えずじまいだったんだ。前もって何回か会うことができていたら、少しはあの態度も変わっていたかもしれないんだけど……」 「あはは、いいんです。これから変えられるように気を付けます。えっとカレー……」 「あ、僕がやるからいいよ。中也くんゆっくりしてて」 「でも……そのうち母さん帰って来るし、俺も手伝います」 「……ありがとう!じゃぁ頼むよ!二人でダッシュで作ろうか!」 「はい!」

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