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第15話 サイコン

埜 父さんが再婚する…… それを聞いて「は?何言ってんだ」って正直不快な気持ちになった。 それは家族が増えるってことだし、しかも向こうには俺と同い年の子供がいるって話だ。 しかもこの家で4人で暮らしたいだと…… マジか…… あかの他人と一緒に住むとか、あり得ねぇ…… そう思った。 だけど父さんは大真面目で、何度も俺に向こう家庭の話を丁寧にしてくれ、その真剣な姿勢に折れたんだ。 あとは奈津子(なつこ)さんと会った時の印象が後押しさせたんだと思う。 初めて会った時、奈津子さんのあまりの天然ぶり?に驚いた。 ぱっちりとした瞳が印象的で、花が咲いたような雰囲気の奈津子さんは、40歳とは思えないくらい若く見えた。 あまり話さない俺にも、無邪気に話しかけてくれ、いつもニコニコと笑っている姿は可笑しいくらい可愛らしかった。 しかも……うちの父さんがマジデレデレで、うわっキモイって引いたくらいだ。 でもまぁこんな花のような人が俺の母になり、一緒に暮らすっていうのも悪くないかな。 しかし丁度その頃から、俺が興味本位でやっているモデルの仕事が忙しくなり、しかもCMにまで起用されて学校が終わってからの時間や休日までもが忙しくなってしまった。 興味本位で始めたとはいえ中途半端にやるのが嫌だったんだ。 それにより、向こうの家族と全く会うことができなくて申し訳なかった。 決して蔑ろにしていたわけではない。 「私に似てぼんやりしているところがあるけれど、とっても優しくていい子なのよ」 そう奈津子さんからも言われていたのもあるし、父親の幸せのことも考えたら再婚する事が最善の選択なのだろうと思った。 ……って、思ったんだけど。 引っ越し当日に初対面した兄を見てマジか……って思った。 …… 伸ばしっぱなしの髪に、サイズの合っていないぶかぶかのパンツ。 カーキ?グレー?もとはどっちだって思わせるような色のパーカーを着て、そいつは立っていた。 袖口メッチャ擦り切れてんじゃん! 毛玉ぶら下がってんじゃん! ヴィンテージとかじゃねぇレベルのモノを身にまとっていて愕然とした。 これはありえない。 着るモノに全く興味がないのか、自分がどういう目で見られているのかもわからないといった感じだった。 今時の高校生、もっとファッションに気を使うだろう! そう思いつつ、思い出したくない自分の過去が脳裏を過る。 小6の修学旅行で持って行った服を思い切り大声でダサいと言われた。しかも好きな女の子の前でだぞ!当然クラスメイト皆に笑われたんだ。 今思い返してみると、言ったあいつの方がダッセェだろ!って思うのだけど、あの当時は恥ずかしくて悔しくて傷ついた記憶がある。

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