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第18話 ヘンカ

初めて兄弟げんかをした。 お互いそれぞれの思いが積もっていたようで、それなりの喧嘩になってしまい、斎さんに怒られてしまったけれど、母さんは俺たち二人の初めての兄弟げんかということに、何故かとても喜んでいた。 「兄弟がいないと兄弟げんかってできないわよね!」 ……だ、そうでーす。 でもその一件の後、俺と埜の間に変化が起こった。 「おはよ」 「はよー」 俺と埜はお互い朝はギリギリまで寝ているタイプで、大体洗面所を使うタイミングが重なる。 以前は鉢合わせしないように俺がわざと時間をずらしていたんだけど、それがなくなった。 二階にバスルームと洗面所があるので、自分の部屋を出ればすぐだ。 寝起きのまま洗面所にいくと、大体埜が先に居るんだけど、何故か毎朝、俺の寝起きチェックをされる。 実はあれから、埜からパジャマ用のスウェットももらってしまったのだ。 上下セットになっているチャコールグレーのやつなんだけど、これも毎日着ろと言われた。 当然サイズは大きい…… 「あの(ちゅう)のパジャマは見るに堪えない」 ?そう言われた。 埜が言うにはおっさんが着るようなパジャマだ!って言われたんだけど、俺にはさっぱりわからなかった。 えーと、あれは確か学校のバザーに出品されていたもので、母さんが300円でゲットしたブランド物のパジャマだったような…… 実際着るものは母さんが買ってくるものを着ているのだけど、母さんはいつも男の子の服ってつまらないわよねー!って良く言っていた。 リボンがついているわけれでもないし、可愛いレースもフリルついていない。 バリエーションも女の子の物に比べて少ないから面白くないわーと……それでも母さん的にはもっと色々な服を着て欲しかったみたいだけど、俺は気に入ったものがあったらずっとそれを愛用するタイプだったので、一緒に買い物に行っても新しい服を買ってもらいたいとか全然思わなかった。 だって、あるし?まだあれ着れるし?そういう姿勢は小学生からだったので、中学になる頃には母さんも諦め状態だったのだ。 「着れれば何でもいいわねー」って結果を生んだ。 俺ってこそういうところ、本当無頓着だったんだなぁって今更ながらそう思った。

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