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第20話 ヤクソク
わーい!これは嬉しいぞ!
美緒の兄ちゃんが美容師とかってすげぇー!
優柔不断でどこに切りに行くか、店選びをするのも迷う俺にはこういう誘いは有難い!
「おーし!じゃ、日曜日な?そのウザ髪ともおさらばだな」
「ウザくて悪かったな!」
わしわしと乱暴に頭を撫でられて髪が乱れる。
そこに用事を済ませてきた秀多が現れ、自分の椅子が使われているのを確認すると、何故か俺の膝の上に腰かけてきた。
「あーどっこいしょ…」
「わっ!おっも!」
「中の椅子あったかぁい。で、何話してたんだよ」
「俺と中の週末デートのお約束してたとこ」
「デ」
「えー!何だそれ、僕を差し置いて!抜け駆けかよ!」
「悪いな!中が我慢できないみたいなんだ。初めての○○○は俺に任せられたから……悪いな秀多」
「え”」
「やだマジ……エロ…中が大人になっちゃう…どうしよう」
「俺が優しくシテやるから大丈夫だぜ☆安心しろ…なぁ?ちゅう…」
秀多が膝に乗っているので、身動きができない俺の頬をちょっとわざとエロく撫でてくる美緒…顔がめっちゃニヤニヤしていて、明らかに俺を揶揄っているのが良く変わった。
「ななな!なんの話してんだよお前ら!髪切るだけだって!秀多どけっ!」
大きな秀多の背中を叩きわき腹を擽ると弱いらしく、笑いながらすぐにどいてくれた。
「なんだよ、髪切りに行くだけか。行ってら~僕日曜は予定入ってるし」
「そゆこと。俺の兄ちゃん、美容師だからそこに中を連れて行くんだよ」
「あーそゆこと」
「へーじゃぁ、カット後の報告よろしくなー」
こっちへ引っ越してきてから、友達と学校以外で会うって初めてかもしれない。
そう思ったら楽しみで仕方なかった。
当日は駅で美緒と待ち合わせをして連れて行ってもらうことになったんだけど、俺そんなに出掛けたことないし…言われた駅も降りたことないから…今回は完全に引率される側だ。
あ、服……どうしよう…別にデートする訳でもないからそんなに気にすることないか…いや…いやいや……でも埜に念のため見てもらった方が良いかな。
うーむと考えながら家に帰り、自分の部屋のクローゼットの中身を物色した。
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