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第22話 ニチヨウビ
「俺がつけたのはこれ」
3つあるうちの水色の容器を開け、匂いを嗅がせてくれた。
確かに埜がつけているものと同じ爽やかな香りがする。
「あ、これだこれいい匂い。スカイブルーの香り……」
「んー……中には…これで十分かな……ほら、これやる」
そう言いながら埜は、可愛らしい色の容器を俺に手渡した。
容器にはフレッシュソープの香りと書いてある。
「え、いいの?俺貰って」
「まぁ俺使わねぇし、これメンズ用だからあと一つは父さんにでもあげるかな。いらないなら捨てろよ」
「やった!いるいるっ!埜ありがとう!」
「……はいはい。さーて、風呂はいろ」
埜はリュックを持って、さっさと二階へと上がってしまった。
貰った容器を開けて匂いを嗅いでみると、埜がつけていたものとまた違って少し甘いよい香りがした。
何か埜から貰ってばかりだなぁ……
今度何かお礼しないと……
そう思いつつ……でも俺から何をあげても埜は喜んでくれたりはしなそうだなぁという確信もあるわけで。
「埜……何好きな食べ物とかないかな。明日聞いてみるかな……」
そうしたら髪を切った帰りに買って帰ってこれるな。
そう思ったのだった。
日曜日、
電車に乗って待ち合わせの場所に何とか向かい、美緒が来るのを待った。
初めて降りた駅だったので、思い切りキョロキョロと周囲を見渡す。
どこもかしこも都会って感じで、心なしか緊張してきてしまう。
前髪は瞳にかかるくらい伸びているから、サッパリ切ってもらいたいなぁーとか思いつつボーっと佇んでいると……
「おーい!中!待たせたーーー!」
「う"わ!!」
前にもこんな感じあったような気が……そう思いつつ、タックルを食らったような衝撃が身体を走る。
いつもと違う感じだけど、確かに美緒が俺を抱きしめていた。
……
わ、
わああぁ!
「み、美緒!おはよ!」
「おはー!中」
俺の目の前に立っている美緒は学校で会っている美緒とは全然違っていて、すっごくすっごくカッコいい!
着ている服も大きめのTシャツにワイドパンツを合わせて緩い感じだけど、美緒にすごく会っている感じがした。
「み、美緒って高校生って感じでカッコいい…」
「え、マジ?惚れた?中は中学生って感じで可愛いな」
「え!」
「あっはは!わりぃ!私服の中とっても新鮮ってこと。ほらこっちこっち行こうぜー!」
体格差があるためガッシリ肩を抱かれて、引きずられるように美容院に向かうのであった。
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