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第24話 モヤモヤ

「何か……いる人皆お洒落だなぁ…」 「ん?そうか?あーでもこの辺は美容院多いし、美容系とかデザイン系の学校もいくつかあるからそうなのかも」 「そっか、俺ダサいからちょっと場違いかも」 「……んなことねーよ?中は別に気にしなくてもいいじゃん」 「え」 「中そういうファッションとか興味ないって感じ?着る服とかは個人の自由だしな」 「……う、うん、そうなんだけど」 「ならいいんじゃね?中は中だろ?あ、この髪型、中におススメどう?」 雑誌のヘアーカタログを指さして進めてくる髪型はツーブロックだ。 「え、短っ!美緒の方が似合いそうじゃん!」 「あっはは!だよな!」 美緒は冗談を言いながら俺におススメのカットを見せてくるけど、俺の心はなんだかもやもやしていた。 気にしなくていいのかぁ……でも身なりは気にしろと埜には言われてるし、つかそんな服全部捨てろまで言われている。 でも美緒の中は中だろっていう言葉はとても嬉しい。でも… お洒落とかファッションに興味はない…って言ったら……正直ない。 でも…… でも最近、関心がないわけではない。 やっぱり埜に言われたことがきっかけだけど、無関心でいては駄目なんじゃないかって今は思い始めている。 だってそれが原因で兄弟喧嘩して、俺のパーカーはご臨終したんだ。 あ、あれは埜が悪いんだけどな。 そんなことを考えている間もジィっと俺のことを見つめている男の視線が鬱陶しい。 お洒落さん!って言うのを前面に押し出しているあいつは、スマホを弄りながら俺を見てニヤニヤしている。 お洒落だけど……埜の方が全然カッコいい…… 「は、ダセー」 ぽそりとそいつが俺を見つめながら呟いた一言が俺の耳に入った。 ……ということは当然美緒の耳にも入った訳で……気がついた美緒が開いていた雑誌を閉じそいつの事を睨みつける。 ……や、やばい。 不穏な空気が立ち込めはじめハラハラしてしまう。 そして思いのほかそいつが言ったダセーの一言が俺の胸に突き刺さっていた。 いつもなら気にもならないのになんでだろう…… 埜に言われた時よりもショックで、ダメージが大きく嫌悪感が消えない。 「お待たせ致しましたー!」 その空気を断ち切るような明るい声のスタッフのお姉さんが、そいつを連れて行ってくれたのでホッとした。 ずっと二人ガン垂れ合っていたので、喧嘩が始まったらどうしようとドキドキだった。 「ごめん…美緒……」 「……あいつマジムカツクな!気色悪い服着やがって。中、気にするなよ」 「ん」

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