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第25話 カット

…… …… 「ほら、これで目がちゃんと見えるようになったね」 「……は、はい」 俺たちの順番が来て、俺は美緒のお兄さんにカットしてもらった。 サッパリしたいですってことを伝えて、後はお任せしてしまったんだけど、丁寧に色々聞きながらカットしてくれて、緊張したけれど安心して任せられた。 「中也君の髪はストレートだからそれを生かしたいよね。今よりもっとカッコよくなるから任せて!ってそんな自信のない顔しないでくれよ。こう見えてもおじさんは見る目あるんだから」 「そうそう!おじさん見る目はある!ついでに俺もな!」 笑いながら隣の席に座っている美緒は、スタッフのお姉さんにカットしてもらっていた。 「中也君は顔が童顔だから、マッシュ系にしてみたんだけど、どう?ついでにちょっとお洒落にしてみたよ」 「……」 わ、 わわわ! カットしてもらって整えられていく自分の髪を頭を見ていて、言葉が出なかった。 完成したヘアスタイルは、今まで自分がどこぞでカットしてもらってきた髪型と全然違っていたからだ。 何が違うって説明できないけど、違う! 正直面倒くさい時は母さんに襟足と耳周りだけ切ってもらったりしていたときもあったけど、それとも勿論全然違う! 「思ったより髪の量多かったから、少し軽めにはしておいたよ」 「な、何か…一回り以上……それ以上に頭が小さくなって見えます…」 「わー!中似合うじゃん!小顔小顔!超いい!」 「美緒…お前煩い黙ってろ」 「あははすごくいいです。カッコいい…でも」 「ん…?どこか気になるところある?」 「あ!ないです全然!でもこの髪型に会う服とか……俺持ってないから勿体ないって思って……」 今はカット用のクロスがかかっていて、自分の着ている服が見えないけど、多分この髪型は俺には贅沢なものなんだと思った。 嬉しい気持ち反面、前の髪に戻して欲しいと思う気持ちが湧き上がる。 ワクワクして興奮している気持ちと、後悔する気持ちが混ざり胸がドキドキしているのが分かった。 「ははは!そんなこと!もっと自信持ちなよ!中也君顔小さいしカッコいいからもっと胸張って。服に自信がないならさ、美緒と一緒に買いに行けば?」 「え」 「あーいいね!この後行こうか!」

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