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第29話 ナオノヘヤ
「今日は美緒にさ、美容院に連れて行ってもらったんだ。美緒のお兄さんが美容師でさ」
「……」
「で、買い物は予定外だったんだけど、美緒がノリノリでさー。俺が選ぶよりもセンスいいから、美緒に選んでもらって……あ、店員のお兄さんも……」
「あー!美緒美緒うるさいっ!黙れ」
「へ?」
「……ちょっと待ってろ。つかそれ脱げ」
「は?」
「あー……いいや……クソ、一緒に来い」
イライラした様子の埜は、俺の腕を掴んでリビングを出て二階へ向かう。
??
俺はわたわたしながら、そのまま何故か埜の部屋へ……
埜の部屋にはそう言えば初めて入るな……
わ……
いい匂いが……埜の匂いがする。
埜の部屋は整理整頓されてシックな雰囲気で、良く着ている上着や帽子などがキチンとハンガーやフックに掛けられていて、それだけでもお洒落なインテリアの一部みたいだ。
「そこ座ってろ」
指示された埜のベッドに座らされたのはいいけど、何だか立っている埜がじろじろと見てくるのに戸惑う。
埜は考え事をしているのか、怒っているのかよくわからないけど、やっぱり仏頂面で俺は段々不安になってくる。
「……や、やっぱり……俺、おかしい?」
「あ?……おかしくはねぇよ。面白くないだけ……」
「………え?」
「ほれ、ばんざーい」
「うえ?あ!……な、なんで!」
またこのパターン!?着ていたTシャツを埜に脱がされてしまった。
「で、これな?」
そう言いながら着せてくれた服は埜の服で、埜が何回か着ているのを見たことある服だった。
「え、何……」
「んー俺も着替えるか……中に泣かれて濡れたしな」
??
そう言いながら埜は、着ていたシャツを脱ぎ捨て他の服を着るのにクローゼットの中を物色し始めた……
だけど……わああ!
埜の、は……裸!
裸!上半身裸の埜を初めて見た!
細身だけど腹が腹筋があって引き締まっているのが、衝撃的で眩しい!
「……!」
「よし、これにするか……ん?何だよ…その顔」
「え、ああぁ!な、なんでもっ!!」
同じ男子で同い年の埜の身体が自分のと明らかに違っていてショックを受けた……俺って……俺って貧相!
「あーーー何だよ。はーん……俺の身体見て興奮した?」
Tシャツに着替えた埜は、ニヤニヤしながら俺の横に座り、後ろから抱き締めてきた。
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