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第32話 ネレナイ
埜
……
……
あぁ…
何でこうなった……
つか、俺どうしたよ……
時計を見れば、1時過ぎ……
暗い部屋に……俺のベッドに俺ともう一人……中がいる。
中は勝手に一緒に寝ると決めて、勝手に押し掛け……直ぐ寝やがった。
兄弟の絆が何とか言ってた割には、即寝だアホか。
アホの兄は俺の隣でスヤスヤと寝ていて、気持ちよさそうな寝息を立てていた。
短くカットされた髪がサラサラしていて綺麗だ。
……くそ、眠れない……
用事を済ませて、家に帰ってきたのが6時半頃……
家の中は電気も付いていなかったので、誰もいないと思っていたら、リビングのソファの端からから投げ出された脚が見え、中がいるんだとわかった。
何だよ、いんじゃん。
ったく……寝てるようだったので、ぶっ叩いて起こそうと思いソファに近づく……
え、
誰……中?
横になって寝ている人物を見て、思わず動きをとめて見入ってしまった。
ウザかった髪は綺麗にカットされているし、着ている服が中の服じゃなかった。
ちょっと待て、これマジで中?
中だとわかっていても、混乱してしまう自分がいて、そしてかなり戸惑っている自分にウケてしまった。
はは……
ヤバ……
可愛い……
……
可愛いって何だよ……でも可愛い。
あまりこの言葉を連呼するの好きじゃねーけど、実は少し前から中を見ていてそう思っている自分がいた。
気のせいだって思ってた。
そう気のせい……
あのダサい中に、この表現使うとか意味わかんねー!
俺、可笑しくなったんじゃねーの?
そう思った。
そんな自分にいちいちイライラしつつ、だけどどうしても思ってしまう。
毎朝洗面所にふらふらと起きてくる中の無防備な姿が可愛いとか……思うなんて……マージ俺どうかしてる。
自分の気持ちと葛藤しつつも、あー!でもこいつ可愛いや!って自覚したのは早かった気がする。
ズレたスウェットを直してやり、寝ぐせも整えてやる。
その間大人しく、されるがままになっている中は、まるでペットのようだと思った……じっとしている間、俺のスウェットの裾を両手で握りしめていた。
中には絶対言わないけど、くそダサいこいつ……可愛い。
あぁ……ダサ可愛いって……こういうのを言うのか?
なるほど……
妙に納得してしまった自分がいた。
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