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第33話 ソワソワ

埜 そんな中が髪を切って来たということはわかったけれど、そのカットがそれなりのサロンでしてもらったことも一目でわかった。 アシンメトリーにカットされているし、アレンジも良い。 着てる服は、リーズナブルな価格で手に入るものだけど、シンプルながらも今風で良く似合っていると思ったし、足元のショップの袋には俺が選んだ中の服が入っていた。 ということは購入した店で試着し、そのまま着て帰ってきたということがわかる。 ……服に興味ないこいつが、そんなことするのか? つかしてきたからこうなっているわけで…… どういう心境の変化かわからないけれど、中が普段しない行動を今日してきたことが見て取れた。 揺さぶって起きた中は、寝起きでボケボケしながら今日の事を興奮美味に話してくれ、その話の節々から、中が背伸びをして今日一日を過ごしたことが良く分かる。 そのうち泣き出したし…無駄に泣いてオイオイって思ったけど、こいつなりに頑張った結果が出てたし、努力した奴を馬鹿にする気にはなれなかった。 ……良く頑張ったんじゃね? 腕の中で泣く中はあったかくて、俺の胸に顔を押し当ててきて……何かスゲーいい…。 ちょっと何気に細い腰に手を回すと、不思議ともっと触りたくなってきてしまう。 ダサ可愛いって……結構ハマるな。 つかオイ…… これ…ヤバいんじゃね? 妙にソワソワ?ドキドキしてくる……ちょっと待て……相手はくそダサいこいつだぞ? 出来立てほやほやの兄だぞ?男だぞ? それに加えてこの匂いがまた惑わしてきやがる…… 俺があげたデオドラントウォーターを付けていてそれが妙にムラムラさせてくるし…… ムラムラしたまま、中の首元に顔を埋めてその匂いを嗅ぐと、どうにもエロい気分になってきてしまった。 触りたい…… …… つか…… 篠崎って… …… あいつと今日、1日一緒にいたって…… は? あいつと中が、クラスが一緒…… …… なんだろう… すげーーーーーームカつく!!!!! すげーーーーーーイラつく!!!!!! 面白くねぇ!!! は? 何一緒に出掛けてんだよ! 何約束してんだよっ! ……クソ……あいつは……美緒は嫌いだ。 隣で寝ている中が、ごろりと寝返りうち俺の陣地に侵入してきやがった。 ……ったく、狭いっつーの。 俺があげた寝間着を着て、スースーと寝ている中の顔をジィっと見つめ、柔らかそうな頬を撫でてみる。 ……俺より体温高いな…… ソファで抱きしめた時の中の温もりと、目の前で寝ている中の体温がジリジリと俺を追い詰めている気がしてならない。 ……この馬鹿……馬鹿(ちゅう)め……

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