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第35話 クラス

その日は初めて兄弟揃って登校した。 「クラスの皆に、埜とは関係ないって言ってあるんだけど……どうしよう。バレたら怒られるかな。ちゃんと説明した方がいいよな」 「……それもうバレてるから、素直に謝るんだな」 「え?」 「中ってスマホあんまり弄らないよな。帰り迎えに行くけど連絡するから、ちゃんとチェックしろよ」 「うん」 自分のスマホを手にすると、昨日からずっとマナーになっていることに気がついた。 ? あれ? なんだろう、すごいメッセージが来てるみたいだ…… 学校に着き、埜と別れて自分のクラスへと向かった。 「あ!景森来た!かわ!」 「か、景森!!ちょっと!か、かわっ!!」 「本当に景森じゃん!髪ヤバかわっー!」 「おはよー」 「ちょっと!ちょっと景森どういうことよ!!」 「え?」 「ちょっと女子たち!待て!僕が聞く」 「秀多、おはよう……な、何か皆どうした……の」 「おはよう中。悪い、まずは直球で聞く。お前さ……景森埜と兄弟って……本当か?」 「……」 「前に聞いた時は、関係ないって言ってたよなお前……マジなのか?」 ……秀多の顔は真剣だった。 そうだ、転入してきたときに埜とは関係ないと言っていた。 どうやら埜と俺が兄弟だって言う事は、埜が言っていた通り、皆に知られているらしかった。 クラスの女子たちも、皆俺の事を見詰めていて、俺の返答と待っている。 ……嘘をついていたことがバレてしまった。 その場しのぎでついていた嘘は、見事にバレてしまって……凄く気まずい雰囲気がその場に漂う。 でもこれは俺が100%悪いわけで…… 「……ご、ゴメン。皆に嘘ついてた……両親が再婚してさ埜と俺、兄弟になったんだ。それで……」 「中!」 「は、はい!」 秀多の強めの声に、思わず身体が強張る。 秀多の顔は真っすぐ俺を見詰めていて、まるで攻められているような気持になってしまう。 「……お前さぁ」 「……」 「……どっちかって言ったら、弟ポジションじゃね?」 「……へ」 「どっからどう見ても、景森埜の方が兄だろ!あははウケる!」 「……あの」 「うん!同い年にも見えない疑惑!あれ見ても誰も同い年だとは思わないよなー!でも中のその髪型、超イイじゃん!スゲーイメージ変わった!これは女子がほっとかないんじゃね?」 がしっと肩を組まれて、笑ってる秀多はいつもの秀多だし、女子たちもキャーキャー言っていたけれど、全然怒っている感じはなくて、毒気を抜かれた気持ちで呆然となってしまった。 「あ、あれ、怒ってない……の?嘘ついてたこと……」 「は?んなことで怒るかよ。家庭の事情ってやつだろ?あっち有名人だし。言えないこともあんじゃん」 「う、うん……何か有難う。……で、あれ見てものあれって何?」 「ん?あれってあれだろ?景森の……あっちの景森がSNSに載せてたやつ。僕、女子から見せてもらったけど……ってクラスのグループメッセージにもその画像アップしてあったけど、見てないのか?」 「み、見てない!」 ま、まさかと思いつつも、自分のスマホで慌ててチェックしてみると、それらしき画像がアップされていた。 その画像は紛れもなく、昨日埜の部屋で二人で撮った画像だった。 ばっちり埜に抱きしめられてる!! ぎゃーーーー!!!!

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