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第36話 ハ?

「……これってさ、弟ができました。の間違いじゃね?」 「……」 「はーいそれ!僕がもうツッコミしたー」 「だってさー、誰が見てもそうだろ。そして同級生にも見えない詐欺。そしてこの(ちゅう)、メチャ可愛いー」 「……」 「美緒、中が傷ついているから、もうやめておけ」 「ん?中?これは貶してる訳じゃないぞ!むしろ俺的に褒めて……」 「ないないないっ!」 朝練を終え教室に入ってきた美緒から、秀多と同じことを言われて、俺の心は傷ついた。 皆そこばかり突っ込みやがって…… そりゃ、確かに埜の方が大人っぽいし、それに比べると俺は幼いというか子供っぽいというか、センスの欠片もなく、スキル的にも色々足りない感じで劣る。 はいそうです! どうせ埜の兄には見えません! 「へぇー……でも埜と中が兄弟ねー。ふーん」 スマホの例の画像を眺めながら呟く美緒は、何かを考えているように見えたので、埜のことを聞いてみようと思った。 「……美緒ってさ、埜のこと知ってるんだろ?部活一緒だったって聞いたけど」 「ん……一年の時にな。あいつその時からモテててさ、そのうちモデルの仕事はじめて、忙しくなったとかで、部活やめちゃったんだよね。バスケ上手かったし、俺は寂しかったなー」 「そうなんだ……」 「あーそうだ。中に教えてやる……これ、秘密だぜ?俺さぁ……」 「?」 そう言いながら、 美緒は俺の耳元で小さく囁いた。 「俺、埜とキスしたこと、あるんだ……」 「え」 ? は? なんつった? キ、キス? キスって、あのキス? どういうこと? 詳しく聞こうと思った時に、先生が教室に入って来てしまい、美緒は含みのある笑みを浮かべながら自分の席へと戻ってしまった。 ちょっと待って…… ……埜と美緒がキス? な、何で!?男同士で? 俺は自分の席に座りながら、それが脳内をくるくる回って、気になって気になって仕方がなかった。 それと同時に今朝の埜の寝顔や、迫ってくる埜の整った顔や唇を思い出してしまう。 キスってくくく口にしたのかな? …… えっと、ていうかちょっと待て。 そもそも…… 埜と美緒の関係って……何? 部活の仲間ってだけで、キスしないよね? しないよね!? 何っ!!? だ、誰か教えて!!!!

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