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第38話 シリタイ

…… 「美緒!」 授業が終わって休み時間となり、さっきの話の続きが聞きたくて美緒の席へと向かった俺。 「んー?どったの?」 「あの!えーとほら!さっきの話……!続き聞かせて!」 「あ?……あーあれか、埜の話?」 「そそ!」 「……はーん、中ってば気になっちゃう感じー?でも……ここだとちょっとなぁ~」 笑いながら少し困った顔をする美緒は、次の授業の準備をしながら、俺を横目で見つめていた。 「ねー景森ー!この写真ってさー、自宅で撮ったやつなのー?」 「ねね!今はもう埜くんと一緒に住んでるんだよね?そういうことよね?」 「え?あ!?」 そうなのだ、授業が終わって休み時間になったら俺の周りに女子達が集まって来てしまった。 話を聞きたいのは女子も同じらしく、俺から埜の詳しい情報を知りたくて仕方がないようだ。 俺は美緒から詳しく知りたい…… あっという間に女子に取り囲まれてしまい、俺の休み時間は終わってしまった。 …… 「すみません。この状況、今日で終わりますか……」 「んーそうだな。ピークは過ぎたとみた……しかし気を抜いてはならんぞ中よ。お前には兄としての勤めがあるんだ、しっかり埜の兄として!兄にみえなくとも!いくつですか?って聞かれたとしてもだ!」 「いくつですか?って同学年の子から聞かれるとかウケる。聞いてて噴いたわ」 「……うう…」 昼休みの屋上で俺と美緒、秀多の三人で昼飯を食っていた。 結局休み時間は、誰かしらに声をかけられ、他のクラスの奴まで来たりし、質問攻めにあったのだ。 無駄に写真撮られたし…… 「注目を浴びるって大変だよな。でも中自身も変わったから、それもあると思うぞ?好印象じゃん!モテモテ!」 弁当を頬張りながら、秀多が呟く。 「俺が中を変えてしまったのか……その責任は俺がとらないといけないか……中、抱きしめてやる。さぁ!おいで!」 胡坐をかいている美緒が、笑顔で両手両脚を広げていたけど、無視した。 空は高くて広くて良く澄んでいて綺麗だ。 斎さんお手製の弁当を食べながら、大空を見上げるといくらか疲れが取れたような気がする。 ……埜って……人気なんだなぁ。 今日色んな女子が、埜の魅力を教えてくれた。 爽やかで好感度抜群の高校生モデルで、ファッション系の雑誌中心に活躍しているらしい。 最近はCM、TVにも出たりして、活躍の場が広がっているようだった。 爽やかで…… 好感度抜群…… ?? そこがいまいち俺の知っている埜と合致しないんだけど……と、疑問に思いながらも、まぁ世間はそういう印象なのかなぁって?そういうことにしておいた。

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