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第39話 キスシタワケ

昼休みがそろそろ終わる頃、屋上から教室に向かう階段の踊り場で、後ろにいた美緒が俺の肩をトントンと叩いた。 「あの話……」 「……」 「中はさ、俺が埜にキスした理由(わけ)、知りたいんだろ?」 「……う、うん」 「知りたい?」 「……し、知りたいよ……」 「へへへ……んーキスする理由って……わかんね?」 「……え…ぁ」 秀多が先に階段を降りていくその後ろで、そう美緒が切なそうに俺に教えてくれた。 ポンポンと頭を優しく撫でながら…… 「あはは……なーんちゃって……あーキスしたはしたけど、その後すぐに思い切り埜に殴られたんだ。すげー嫌だったらしい。そりゃそうだよなー!」 「……」 「それ以来、あいつ口利いてくれないんだよねー。そのまま部活辞めて、絡むことなくなったし。まぁ……仕方ないよな。でもまさかあいつが中の弟になるとか考えてもみなかった。俺、埜に謝らないとって思ってるから。……あーでな?それはおいといて!今は俺……んんん……中にキスしたいって思ってるんだぞ?」 「あぁ……そう……」 「ちょ……中ってば聞いてる?……なんか俺に塩対応じゃね?……なんでー!」 …… …… ドキドキ……… キスする理由……その意味って……わからない奴いないだろ。 ドキン……ドキン…… 美緒は埜のことを好きだってこと? そ、そういうことだよね。 …… 「おーい!お前ら二人何してんだよ!やらしいことしてんじゃないだろうな!」 「!……ヤバいばれたか!中、ほら秀多さんが一人じゃ寂しいってよ!行くぞ!おーい、聞いてるか?」 「……え、あ、お、おう!」 慌てて階段を降り、下で待っている秀多と合流した。 でも俺の頭の中は、さっきの言葉が頭から離れなくて、脳内が大変なことになっていた。 衝撃的でショックだ。 ……美緒は埜のことが好きで、キスをした。 でも、殴られたってことは、埜はその気がなくて……美緒はフラれたってことになって…… …… っていうか、落ち着け二人とも男同士だぞ。 男の美緒は男の埜を好きになったってことになる。 ……なるな。 美緒は……名前女子っぽいけど男だな…… 埜も……男だな…… それってそれって普通にあることなのか? 秀多に聞いて…… イヤ!これ秘密だし!き、聞けない!! どうなんだ? どうなのさ! 誰かー! ……誰か! 教えてくれーーーーーーー!!

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