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第40話 オムカエ

……俺だけにこっそりと教えてくれたっていうことは、秀多にも秘密だって言う事だよな。 美緒が埜のこと……好き。 ……?今は? 美緒は話してくれた後も、その前と変わることなくいつも通りの明るい美緒だ。 ……あぁ……何だろう……衝撃的すぎてダメージ食らってる自分がいる。 ……なんでだ。心がざわついて仕方がない。 そればかり気にしてちゃ駄目だと思いつつ、気がつくとそのことを考えて、心もやもやしてる自分がいた。 駄目だ、今日の俺は使い物にならない。 早く家に帰りたいなぁ。 良く分からないけど、埜の顔が見たい。 そんなときは時間ってやつは、不思議と時間の進みは遅くて、まるで精神と時の部屋にいるようだった。 でももやもやの俺の心は完全に疲れ、気がつくと6時限目も終わっていた。 ……授業何やったか内容覚えていないわ…… つか、俺なんでこんなに疲れてるんだよ…… 埜が迎えに来るって言ってたけど、そうしたら美緒とも顔を合わせちゃうんじゃ? 二人が顔を合わせたら、どうなるんだろう…… 喧嘩?埜は美緒のこと凄く嫌ってたし、殴り合いが始まる? ……埜ならそうする!埜はすぐ手がでる男だ! そうなったら俺は、どっちの味方をすればいいのか? 弟か友達か!いや、そもそも中立した立場でいなければいけないのでは? 「おーい」 「……」 「おーい中さん?」 「……うん、そうだな」 「うんそうだな。じゃねえって……おい」 ポンと頭を誰かに叩かれた。 「あ?……秀多、何?」 「何じゃねぇ……考え事か?顔が変顔大会してて気持ち悪いぞ。弟さん、お迎えきてるぞー」 「あ」 気がついたらHRも終わっていて、扉の外から埜がチラリと顔を覗かせていた。 埜……俺の教室に……埜がいる……って不思議な感じ。 慌てて荷物を纏めて教室を飛び出すと、これから部活だろう美緒が、なんと埜に話しかけているところだった。 わわわ!!! ヤバっ! 「……埜がさ……中と兄弟とか、スゲー驚いた」 「……まぁ、誰にも言ってなかったし……」 「そっか……」 「……」 「埜、あの時は……悪かったな。ゴメン……」 「……別に……もういいし。中、帰るぞ」 「……あ、お、おう!」 俺に気がついた埜が、俺のところまで来てポンと頭を叩いた。 …… 少しの間だけど、二人に見とれてしまった。 身長が高くてイケメンな二人が、周りに聞こえないように接近し、話している姿は何ともいえない雰囲気があって、見ていてドキドキしてしまった。 でもあれ? 殴り合いの喧嘩にはならなかったな…… 「中ー!じゃぁ、また明日なーー!!」 「わ!お、おうっ」 ワシワシと乱暴に俺の頭を撫でて、美緒は部活に行ってしまった。 「埜、お待たせ……ぐわっ」 埜の方に向き直ると、今度は埜に頭を乱暴に撫でられてた。 今日はやけに頭を撫でられる……

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