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第43話 ヨリミチ!

埜 中と二人で下校するのは初めてだけど、兄弟だと周りが知ることによって環境が変わってしまった気がする。 ま、それは仕方ない。 急に思いついたことだから、事務所にも何も言わずにアップしたけど、まぁ怒られることはないだろう。 「埜……」 「ん」 「SNS見たよ」 「おっそ……」 「皆見てるんだな……埜のSNS。今日凄かった。色んな子に埜のこと聞かれた」 「んだろうな」 「なんでさ、あの写真アップしたの?」 「……」 そんなことお前に言えるか。 「っていうかアップする目的で昨日撮ったの?なんで」 「ふん……そのうちバレると思ったからだよ。中の髪がマシなうちに撮っておいた方がいいと思ったし、話題作りにもなるしな」 お前と美緒が出かけたことが面白くないとか……あいつの影響ばっちりウケて帰ってきたことに腹が立ったとか……それに嫉妬して、お前とのイチャイチャ写真撮ってSNSにアップしたとか…… てめえに言えるかよバーカ! 「そっか。スゲー驚いた。女子がヤバいくらい質問してきたよ。埜のことについてさ」 「……変なこと喋んなよ。俺、プライベートなことあまり公開してないんだからな」 「ははは、大丈夫。爽やか高校生モデルのイメージ崩さないようにしてるから!」 「……首絞めるぞこら」 「俺もお兄ちゃんとして頑張るから!」 ……う、嬉しそうに言ってんじゃねーぞ!馬鹿中! まぁでも確かにこの先、俺と中が兄弟だっていうことは世間にもわかってしまうんだろうと思ったし、認めたくはないけれど、ぼさぼさの前の髪より、今の髪型の方が写真写りはいい。 プライベートをあまり公開しない俺だから、これはかなりファンサービスした情報だ。 中が美緒と出かけたことに腹が立つ。 美緒が中の服を選んだとか、マジ無理。 こいつは俺の兄であって、俺のものだと美緒に見せつけたかった。 手、出すなバーカバーカ!!!ってことだ。 そう思ったら、マジあいつと同じクラスとか許せないし、あの野郎と友達だとか信じられない! 「……今日、美緒と喋ったか?」 「え!え?美緒!?」 「あ?そうだよ、喋ったか?」 「う、うんそりゃ友達だから普通に喋ったよ。兄に見えないって言われた」 「……は、だろうな。そか……」 「……な、ななな埜……あのさぁ」 「ん?あーーそうだ、このまま買い物行こうぜ」 「は?」 「制服のままのだけどいいか、よし中の服買いに行くぞ」 「へ、あの!ちょっと!?」 考えたらイライラしてきて、帰り道を外れて二人で駅まで行き、このまま買い物しようと思った。 駅に隣接しているショッピングモールで中に似合う服を何着か購入した。 「はは、超着せられてる!さすが中!」 「あのね、それ褒めてないだろ」 「この帽子……って、おい……被り方可笑しいって」 「……」 「……うん、これまぁいいかな。あ、このシャツ使えるな。カーキと白どっちがいいかな……ん」 「埜、こんなに買っていいの?俺そんなに」 「あー大丈夫。先に父さんに話してあるから」 「え、マジ?」 「んぁ?何俺が選んだ服着れないって?」 「そんなこと言ってないだろ!気になったから聞いただけだし!」 「……普段服買わない子だからむしろ買ってあげて!って言われた奈津子さんに」 「マジか」 「マジだ。それと……」 「……?」 「いや、何でもねぇ」 埜ちゃん色に染めてあげてね!って奈津子さんに言われたけど、中には言わなかった。 …… 言われなくても、マジ染めるし!

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