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第46話 キス

み、 み…… 美緒ーーーーーーー!!!! 「あ、あいつ!だって秀多も避けて俺にだけ言ったんだぞ!それって秘密だぜってことだろ?キスする理由ってわかんね?って切なそうに言ってたんだぞ!」 「……その方が、中の反応が面白いからに決まってんだろ」 「でえええええ!!嘘だろ!何なんだよあいつは!俺の一日を返せ!」 「お疲れー」 「聞いてからずっともやもやしっぱなしで、マジ損したぁ……」 キスした理由が全く違っていて、脱力感が半端なかった。 斎さんお手製の美味しい弁当の味も今日はうわの空で食べてしまったし、学校で何をしたかもよく覚えていないのだ。 「……何でそんなもやもや……そんなにキスした理由が気になったのかよ」 「気になるだろ~!だって埜と美緒だし!男同士でキスしたって聞いたらそりゃ」 「マジで俺と美緒がそんな関係だったら?」 「え、いや!そりゃ……普通にびっくりだろ……」 「……まぁびっくりだよな。……お前……美緒のこと好きなの?美緒とキスした俺に嫉妬したとか。俺も美緒とキスしたい!とか思ってもやもやしてたわけ?」 「え!?俺が美緒と?なんでだよ!美緒は友達だけど……むむ無理だろ!」 「ふーーーーん」 ? 埜の顔を見ると、眉間の皺は消えていていつもの仏頂面に戻っていた。 ちょっと俺より鼻が高くてごついけど、それが男らしくてカッコいいなと思う……は、肌は色白で、綺麗でちょっと……? 距離が……ちか…… 「……んじゃ、俺とキス……したいとか思った?」 「え」 「……」 「……な」 「……」 「……」 ふ…… 唇に……触れる柔らかいもの。 ほんの少しだけ触れただけなのに、微かに温もりを感じ……息遣いを感じ……一瞬時が止まった気がした。 ついでにドアップの埜の瞳が真っ直ぐ俺を見つめていて……とてもとても綺麗だ。 心が……跳ねる。 「……」 「……迷ったな馬鹿。……美緒の前で……んな顔すんなよ」 「……え……んな顔?え、今の!う、わっ!」 今の何?って考える間もなく、埜に思い切り抱きしめられてしまった。 びっくりするくらい何が起こっているのか良く分からない。 今、今のってキス? 埜にキスされたのか俺? 「は、まぁ……いいや。これでとりあえずは一安心。あーーー!ざまぁ見ろ」 「ちょ!あの今のって」 「……なんだよ」 「キ、キキキキス!?」 「だから何だよ。今日一日これでもやもやしてたんだろ?さらにもやもやしろ馬鹿」 「な、ななんでしたんだよ」 「なんでって……自分で考えろ?あぁ、これ俺達兄弟だけの秘密な?誰にも言うなよ?お 兄 ちゃ ん」 目の間の仏頂面が、ニヤニヤしながら俺にそう囁いた。

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