47 / 99
第47話 ツギノヒ
埜とキスをした。
正確にはキスされた。
……キスした理由は考えろって言われたけど……
ど、
ど!!
それってそれって……
答えは決まってるじゃないか。
それで俺は一日悩み続けていたんだから。
そいうことは……埜は俺のことが……すす好きだってことになるんだけど……
そんなまさか……埜が俺を?
でも俺のこと、散々ダサいダサい言ってたじゃん……?
スゲー言われてたじゃん俺?
んなまさかね……埜が俺のこと好きとか!あははあはは…きっと埜にも俺はからかわれているんだ。
そうだ、うんそう……!キスって言っても、ほんの微かに触れただけの軽いやつだ。
ドキッとしたけど、埜からしたら大したことないのかも……ったく兄貴をからかうなんて!けしからん奴だ!
そう思ったのに……
「おおおはよう埜……」
「……はよー」
次の日の朝、いつものように洗面所で、兄弟恒例となった朝の挨拶を交わす。
昨日のことは埜にからかわれたことにして、自己解決したつもりだったのに昨晩はほとんど寝れなかった……
はぁ……
あの一瞬の出来事が……
あの一瞬が!脳内から離れない!!
埜の唇がっ!
「なんか、寝れなかったって顔してんな……わかりやす」
「は?だっ誰の……っ!」
誰のせいだと思ってんだよ!って言いたかった……言いたかったのに……
!
……デ、デジャブ!?
俺!
また、埜とキスしてる!!
今度は一瞬とかじゃなくて、バッチリ唇と唇が重なっていて、埜の体温までがしっかりと伝わってくる。
埜の大きな両手で顔をサンドされ、俺は少し上を向いたまま動くことが出来ない。
朝の洗面所で兄弟でチュウしてるってどういうワケさ!!
そう心の中で叫ぶのに、何故か抵抗しない俺もおかしい……わあぁ埜の唇って……柔らかいな……あったかいぞ!とか脳内ではそんな感想がくるくると回っている。
「……ブスい顔」
「……な、埜……なんで、また……」
唇がやっと離れたことに安堵しつつも、少し寂しい気持ちになってしまうのは何故だろう。
つか、またキスした……ばっちりキスした……!
「なんでって……寝癖……直した方がいいぞ」
そう言いながら俺の髪を撫でる埜は、いつもと変わらない仏頂面だ。
それなのに俺は、ドキドキしてしまい、ぶっちゃけ寝癖どころではなかった。
唇が……顔が……身体が……熱い……
埜の馬鹿ーーーー!!
ともだちにシェアしよう!