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第47話 ツギノヒ

埜とキスをした。 正確にはキスされた。 ……キスした理由は考えろって言われたけど…… ど、 ど!! それってそれって…… 答えは決まってるじゃないか。 それで俺は一日悩み続けていたんだから。 そいうことは……埜は俺のことが……すす好きだってことになるんだけど…… そんなまさか……埜が俺を? でも俺のこと、散々ダサいダサい言ってたじゃん……? スゲー言われてたじゃん俺? んなまさかね……埜が俺のこと好きとか!あははあはは…きっと埜にも俺はからかわれているんだ。 そうだ、うんそう……!キスって言っても、ほんの微かに触れただけの軽いやつだ。 ドキッとしたけど、埜からしたら大したことないのかも……ったく兄貴をからかうなんて!けしからん奴だ! そう思ったのに…… 「おおおはよう埜……」 「……はよー」 次の日の朝、いつものように洗面所で、兄弟恒例となった朝の挨拶を交わす。 昨日のことは埜にからかわれたことにして、自己解決したつもりだったのに昨晩はほとんど寝れなかった…… はぁ…… あの一瞬の出来事が…… あの一瞬が!脳内から離れない!! 埜の唇がっ! 「なんか、寝れなかったって顔してんな……わかりやす」 「は?だっ誰の……っ!」 誰のせいだと思ってんだよ!って言いたかった……言いたかったのに…… ! ……デ、デジャブ!? 俺! また、埜とキスしてる!! 今度は一瞬とかじゃなくて、バッチリ唇と唇が重なっていて、埜の体温までがしっかりと伝わってくる。 埜の大きな両手で顔をサンドされ、俺は少し上を向いたまま動くことが出来ない。 朝の洗面所で兄弟でチュウしてるってどういうワケさ!! そう心の中で叫ぶのに、何故か抵抗しない俺もおかしい……わあぁ埜の唇って……柔らかいな……あったかいぞ!とか脳内ではそんな感想がくるくると回っている。 「……ブスい顔」 「……な、埜……なんで、また……」 唇がやっと離れたことに安堵しつつも、少し寂しい気持ちになってしまうのは何故だろう。 つか、またキスした……ばっちりキスした……! 「なんでって……寝癖……直した方がいいぞ」 そう言いながら俺の髪を撫でる埜は、いつもと変わらない仏頂面だ。 それなのに俺は、ドキドキしてしまい、ぶっちゃけ寝癖どころではなかった。 唇が……顔が……身体が……熱い…… 埜の馬鹿ーーーー!!

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