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第48話 ジカク
埜
美緒とキスしたことを中に聞かれ、何でこいつがあのこと知ってんだよって思ったけど、話を聞いていると、中が大いに勘違いしていることがわかった。
美緒が俺のことを好きとか、マジウケるんだけど。
内心笑いつつ、その反面で心配な問題が浮上してきてしまいイライラしてきてしまう。
まさかこいつ、美緒のことが好きなんじゃ……
だからこんなに必死に俺に聞くのか?
そう思ったら確かめずにはいられない。
んなこと絶対許さねぇしっ!
目の前にいる本人にぶつけてみたけれど、反応はあっさりしたもので、美緒に対してそういう気持ちはないということがわかった。
ざまあみろ!美緒の筋肉バカ野郎!
そう心の中で叫んだ!
美緒が中のことを気に入っていることは明らかだったし、あいつが中にどういう気持ちを抱いているかは知らないけれど、中があいつに影響されたことが面白くないんだ。
中のクラスメイトだし、ギリ……ギリ……友達としてなら許せる。
……
いや!絶対許せねぇっ!
なのでその美緒に対する中のあっさりした反応は滅茶苦茶嬉しいし、何より俺とキスしたいという問いに戸惑う中が堪らなく可愛かった!
ヤッバー!こいつヤッバー!
何だその反応!クソ可愛いったらありゃしない!!
頬を赤らめて戸惑う割に、好奇心いっぱいに俺の顔を見つめてきやがって、しかも潤んだ瞳はまるで俺のこと誘っているように思えてきてしまう。
でもそう見えてしまうのは……恐らく俺が中に惚れているからだ。
……自覚せずにはいられない。
男が男にとかそういう根本的な問題は後回しだ。
好きになったから、こいつのことを誰にも渡したくないって思うんだろう。
マジ……マジ中は、誰にも渡したくない。
俺って自覚したら、たち悪い危ない奴だって思う。
我慢できずに吸い込まれるように、中の唇に自分のを重ねた。
……
……だ、だ駄目だヤバいヤバい!俺……
俺!!
緊張して死にそう!!!
しかも勇気がなくて、掠めるくらいのキスしかできなかった!!
ダッセーーーーー!!
でもでも……少しだけ触れたキスだけど、中の唇の感触がほんのりと伝わってきて……
それだけで興奮Maxなんだけど!
この興奮……ドキドキ……
表に出すな俺!
顔に出すなよ俺ーーっ!!
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