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第50話 イキオイハンゲン
「美緒の……馬 鹿……」
「え、どうした中?」
美緒の馬鹿野郎ーーーー!!
って、朝練を終えた美緒の胸倉を掴んで(恐らく身長差できない)腹をどつく予定が(腹筋が邪魔して無理)新事実のダメージによって、勢いが半減してしまった。
そんなは気力は俺にはもうない……
「かくかくしかじかだ」
その様子を見ていた秀多が俺の馬鹿の意味を美緒に通訳すると、美緒は「げ」と一言いいバツが悪そうな表情を浮かべた。
「何だよバレたのかよ~……すまん中」
「美緒の馬鹿。埜からネタバレ……昨日のキスの話、全然秘密じゃねぇし……俺を揶揄うなんて酷い男だ……お前は……」
机に突っ伏しながら感情をこめず淡々と呟く俺に、美緒は慌て始めたようだった。
「いや!ゴメン中!埜と兄弟だってわかったから、ちょっとふざけただけなんだ」
「なんで……あんな言い方したんだよぉ……美緒と埜……Loveかと思っただろー」
「……先輩にやらされてしたって……何かカッコ悪いから、言いたくなかったんだよ。……そこだけ端折って、中に面白く話したつもりだったんだけど……あー!埜とキスしたけことはフリで!今は中とキスしたいぜって意味が込められていて……」
「ピピー!キス禁止ー!お前のかるーーーーい冗談は、中の純情を犯した。その罪は重い、よって……」
「俺、美緒とキスしない。罰として昼飯にトロトロじゃんぼプリンを買ってこい美緒……俺と秀多にっ」
「はぁ?こいつの分も?何でだよ」
「やだぁ……中カッコいい!僕一生ついてく!」
「……美緒……返事はーーーーーー」
「え、あ、はいっ!くっそ!喜んでー!」
どうやら美緒は気力ない俺をかなり心配したようだった。
その後も誤解されたことへの謝罪を美緒から聞かされたのでとりあえず許してやろうと思う。
それに美緒や秀多には言えないけど、今の俺のダメージはキスではなく、寝取られたと言うそっちの方だった。
噂はあくまで噂だ……
何より埜はカッコいい。
普通にモテだろうし、だからモデルの仕事もしているわけで……周りの女の子たちが放っておくわけがない。
身長もあるし顔もいいし……性格はあれだけど、ファッションセンスも申し分ない。
彼女……の話が出たことないから、今はいないんだろうな……たぶんだけど。
仕事でも可愛い綺麗な子達と一緒だったりするんだろうから、そういう子とお付き合いに発展したりするんだろうなぁ。
埜はどんな子がタイプなんだろう……綺麗系かな……可愛い系もありそうだな。
意外と面倒見がいいから、付き合ったら尽くすタイプだったりして。
……
はぁ……無駄にため息がでる。
何でこんな気持ちになるんだろう……
ああ、
そうか。
お腹が空いているせいだ。
お昼のトロトロじゃんぼプリンを心の支えにすることにした。
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