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第56話 パーカーニナリタイ
埜
俺のあげたパーカーに着替え、フードをすっぽり被って寝ているこいつ……暑いのだろう布団は避けて掛けていない。
ハーフパンツからは白く細い太ももが丸見えになっていた。
……
ヤバい。
ヤバい……!
こいつ滅茶苦茶俺のこと好きだろ!?
分かりやす!
具合が悪くなければマジ襲ってた!
暗闇の中、一人悶絶する俺は完全ヤバい奴で中に触りたい気持ちを必死に抑える。
触れてしまえばもう……抱きしめてキスをして……色々色々触ってしまう。
あー!パーカーになりてぇ……
そんな意味不明なことを考えながら、なんとか中の部屋をでた。
自分の部屋へと戻り電気を消しボスンとベットへと横たわる。
……だああああ!
……っとに!
あいつはー!!
自分の枕を強く抱きしめて身体のなかのもやもやを発散させた。
隣の部屋に中が寝ていると思うと、意識してしまい自我を保てなくなりそうだ。
……ぶっちゃけ俺の下半身がヤバい。
着ている服ひん剥いて、中の事襲えるレベル。
中の裸は上半身しか見たことねぇし、下半身にはしっかり一物付いてんだろうけど、たぶん余裕でできる!
エロいことしたい……
熱っぽい表情と吐息が脳裏に蘇り、さらに俺のなかの中が暴走する。
あの太ももヤバい!
……
あいつムラムラしたりするのかな……
たぶん……いや絶対童貞だろうけど……つか性欲がそもそもあいつにあるのか?
一人でシコったり……自分のチンコを……
……どああああああ!!!
寝よう!マジで寝よう!寝れるか俺!って思いつつも無理やり瞳を閉じてみる。
……
……
ね
れ
る
か
っ
!
ざけんな!!!
こんなムラムラ状態で寝れる男子高校生がいるかコラァ!
中の馬鹿野郎っ!!
早く俺を好きだって自覚しろ!!!
こっちは寝てるお前を無理やりでも犯したい気持ちになんだからな!
ブーーーーー
……
スマホが鳴り誰かと思ったらクラスメイトの女子からだった。
……くっそなんだよと思いつつ、でも珍しい奴からだったので、とりあえずメッセージを確認した。
……
……は?
あ?
どうやらこいつの友達が、中に告白をしたらしい……
そのやりとりの詳細が送られてきたので目を通す。
はぁ?あいつ……完全なアホだな。
中は告白したその子は俺のことが好きだと勘違いをしているらしいとのこと。
自身が告白されたとは夢にも思っていないようだ。
……
まぁ、あいつっぽいか。今まで女子から告られたことなんてないだろうし。
その子がどうしても中の事を諦められなくて、中に会いたいと言っているという内容だった。
ふぅん……この告った女子、何組の誰だ?
今までの熱がみるみる覚めていくのが分かった。
え、何?気持ち伝えたら可能性あると思ってんのかこいつ。
「は……絶対……やんねぇし……」
暗闇の中、半笑いで光るスマホの画面をうっとりと眺めたのだった。
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