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第83話 [番外編]早起きをして1
景森クンにお兄ちゃんがデキマシタ。
[番外編]
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ある日の夜中、枕元に置いてあるスマホが鳴った。
眠気が身体を支配していて瞼が重たく、手探りで音の犯人を探す。
なんとか手にしたスマホの画面を確認すると、四時過ぎ……そりゃ眠いはずだ。
ったく、こんな時間になんだろう……そう思いながら届いたメッセージに目を通した。
『こっちこい』
……
……送り主は俺の隣の部屋で寝ているだろう弟からだった。
なんで?今時間?
朝は強い方ではないし、弟の埜 だって朝はギリギリまで寝ているほうだった。
ぶっちゃけこのメッセージに気がついたのも奇跡だというのに、これから隣の弟の部屋まで行くとういう行動はとても面倒くさく億劫だ。
このまま気がつかないふりして寝てしまおう……そう思った。
それくらい眠たかったのだ。
スマホをポイして、寝返りをうち再び微睡みかけたその時、再びスマホが鳴った。
……
『10秒以内に来ないとぶっ飛ばす』
!!!
ぶっ飛ばすってなんだよ!
思わず状態を起き上がらせて弟の部屋がある壁を睨みつけた。
あー!もう!
頭にきつつも無視したら本当にぶっ飛ばされるような気がしたので、ベッドを降り音を立てないようそのまま部屋をでた。
ワガママな弟を放置したら何をされるかわからない!
血は繋がっていない兄弟で同い年だけど、お兄ちゃんは俺の方だ。それなのに態度も身長もビジュアルもファッションセンスも俺より上ときているから悲しい。
斜め向かいの部屋には母さんと斎 さんの寝室がある。
まだ二人ともぐっすり寝ている時間だから起こしてしまったら悪いので、隣の部屋のドアをそっと開け埜の部屋へと静かに入った。
ベッドで寝ているらしい埜は毛布を掛けたまま動く気配はない。
「……埜~……」
「……」
「埜、何?」
「……20秒、20秒かかった。10秒の遅刻だぞこのやろう」
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