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第87話 [番外編] 早起きをして5

埜 …… …… 目の前でスゥスゥ寝息を立てて寝ている兄の顔をじっと見つめている。 まぁ兄と言っても数か月しか違わない同い年で血も繋がっていない兄貴だ。 ついこの間まで赤の他人だった奴。 つんとした鼻をふにふにと突っついてみるけれど、反応はなく瞼もピクリともしない。 しかしなぁ、この顔……兄貴に全く見えない。 子供っぽい顔を穴が開くくらいガン見して俺は幸せに浸っていた。 前髪を撫でると黒い髪がサラサラと落ちる。 夜中にふと目が覚めた。 普段は熟睡タイプの自分なのにこの日はなかなか寝付けなくそれにイライラしだしたとき、ふと中の事を思い出した。 隣の部屋で寝ているだろう中は、俺の兄であって俺の恋人である。 ……恋人とかっていう括りは正直まだ慣れなくてぶっちゃけ恥ずかしいけれど、事実そうだから仕方がない。 俺のモノ……って言い方の方がしっくりくる気がする。 中のことを考え始めたら無性に会いたくなる。 中が言っていたように回りくどいことはしないで直接部屋まで行けばいいものを、俺はあえてメッセージを打って呼び出した。 寝ていて気がつかないパターンも勿論あり得る。 だけど気づくだろ……何故か自信があったのだ。 俺が呼び出してんだから絶対気付くだろ。 根拠のない妙な自信だったけど中はやっぱり来て、それにニヤニヤしてしまった。 さっきまで寝ていた中の温かさや匂いがたまらない。 欲望剥き出しで衣服を脱がし、セックスして今に至るのだ。 あー!中が完全可愛い。 めちゃんこ可愛い! こんなにセックスが気持ちイイものだとは知らなかった。スゲー良かったし、興奮した。 他の奴ではない愛しい中とするから気持ちがいいのだと思う。 中には絶対言わないけれど、日に日に好き好き度が増していて、毎日(ちゅう)にくっついていたいし、毎日エロイことをしたい。 マジ食ってしまいたいほど好きだと思う。 ……中が俺が選んだ下着を穿いているのに満足している。 中はセンスがいまいちだから着るものはすべて俺が管理しようと思う。 もうあんなダッサイ服は二度と着させねぇし…… グイっと寝ている中を自分に引き寄せると、中がもそもそと胸のなかへと顔を埋めてくるからたまらない。 どあー!お前なぁ! 超可愛いっ! 一緒に寝る!マジ寝るっ! 全然兄貴に見えないけど、そんなのどうでもいい! 俺がずっとずっとそばにいてやるから! そう心のなかで叫び優しく抱きしめる。 心が満たされると眠気はすぐにやって来るらしい。 ……くそあったかい。 そのまま俺も中と一緒に、心地良く二度寝に入った。 はぁ……起きたら中の寝間着を脱がせて、俺が選んだ服を着せよう。 ボサボサの髪の毛も綺麗にセットしてやろう。 誰にも渡したくない。 こいつは俺だけのお兄ちゃんだから。 景森クン 番外編[終]

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