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第88話 景森家のクリスマス1

「メリークリスマース!」 景森家となって初めてのクリスマスイブの夜。 予定を合わせ皆でクリスマスパーティーとなった。 斎さんの気合の入った手料理がテーブルいっぱいに並んで、どれも最高に美味しい。 それと俺もちょっと手伝ったクリスマスケーキが本当に美味しかった。 母さんと(いつき)さんは、スパークリングワインを飲んですっかりご機嫌だ。 「やっぱり(ちゅう)は良く食うよな。チキン全部くってケーキもおかわりして……」 「うん、全然美味しいよ」 「……お前の腹はどうなってるんだよ。俺はケーキもう無理だわ」 俺と(なお)はご馳走様をして、ダイニングからリビングに移り、見ているようで見ていないTVをつけて、ソファーでゴロゴロしていた。 ダイニングではまだ母さんと斎さんがのんびり夕食を楽しんでいる。 「なんか二人とも盛り上がってるね。凄く楽しそう」 「まぁ、初めてのクリスマスだしな。ラブラブカップルなんだこらそりゃ……今夜はマジで盛り上がるかもしれないな」 「マジでって?」 「は?馬鹿エロいことに決まってんだろ?もしかしたら、俺達の弟か妹が今晩できるかもしれないぜ?」 「!!!え!」 「当たり前だろ?今夜俺たちは完全に邪魔者なんだよ。今日くらい気を使ってやらないとだろ」 そ、そうか! 親のそういうのって正直考えたことなかったから、衝撃的だったけど言われてみたら確かにそうだ。 お互い子供はいてもまだ一緒になって間もないんだから、当然イチャイチャしたいはずだ。 か、母さんだってひとりの女性なんだ! 「え、俺たち邪魔なの?いない方がいい?」 隣に座ってスマホを弄っている埜の服をツンツン引っ張り、こそこそと兄弟会議が始まった。 まずは後片付けは俺たちでやり、二人には早めに二階に上がってもらおう。 俺たちは今夜は夜通しテレビゲームで遊ぶとさりげなく伝え、リビングで寝ることにしておけばヤりやすいはず!By埜 ……ヤりやすいって言うのも何か複雑なんだけどなぁ。 でも確かに俺たちに気を使って欲しくない気持ちはある。 「大丈夫。父さんスケベだし、その情報入れときゃチャンスだと思って絶対ヤるって」 「!」 そ、そうと決まったら作戦実行。 一人が片付けをしている間、もう一人は風呂に入る。 俺たちが二階へと上がる用事を潰していきながら、テキパキと効率よく動いた。

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