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第95話バレンタイン3
バレンタイン当日。
ファッション雑誌の撮影が放課後に入っていたので学校が終わってからそのまま現場へ向かった。
なので家に帰るのは夜遅い時間になってしまう。
「埜くーん、これ受け取ってね」
「はい、食べてね!」
「ありがとう!凄っ!もしかして手作り?」
「勿論!埜くんのはまた特別なんだよ~うふふ」
「埜くん、また一緒に撮影しようねー!お疲れ様でしたー!」
「お疲れ様でしたー!」
モデルの子やスタッフさんから、チョコをもらいそれらをリュックにつめる。
事務所にもファンからのチョコが届いているらしいが、それはまた後日に受けとることにした。
リュックに入りきらない分はメーカーさんからもらった袋に詰めて持ち帰ることに。
去年より数は増えてる。
それだけ注目を浴びてるってことだから喜ばしいことだ。。
有り難いことに仕事は途切れることなく続けられていて、活動の場も広がってきていた。
……
それなのにあまりテンションがあがらない。
……その理由がわかっているから余計にイライラしてきてしまう。
面白くねぇ……中からはもらってない。
今朝も少ししか会えなかった。
学校には当番があるとかで別々に登校したし、洗面所で寝癖を直してやりセットした時しか中に触っていなかった。
……
しかも最近キスを避けられている。
「あっごめん!」とか「ちょっと急いでるから!」とか言って直ぐに俺から離れて行ってしまう。
……マジイラつくし!中のクセに生意気だし!何なんだよあいつ!
まぁ、こんなにチョコがあるんだからあいつから貰わなくてもなんてことはない。
別にいらねぇし……
星の見えない寒空の中、イライラしながら家路に着いた。
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