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第97話バレンタイン5
バレンタインって最近は友達にもあげるみたいだけど、基本は好きな相手や恋人にチョコをあげる日だ。
はーバレンタインかぁ……
今までチョコは母さんくらいにしかもらったことがなかったし、モテないし好きな相手もいなかった俺だからどこかこのイベントは他人事で余り関心がなかった。
でも今年のバレンタインは今までと違う。
今の俺には好きな人がいて、し か も 付き合っていたりするのだ。
相手は義理の弟という大きな声では言えない相手で、まさかのイケメン君。
チョコあげないと……と思いつつも、どうしても相手のことを考えてしまう。
なぜなら相手の景森 埜は俺なんかよりも遥かにチョコを貰っているのだ。
埜は高校生ながらモデルをしていて容姿はバッチリ。
埜にチョコをあげたいファンや日頃の感謝を込めて贈る関係者は沢山いるだろう。
恐らく俺が生きてきて貰ったチョコの数を遥かに上回っているはずだし、付き合っていてもこんなダサい俺なんかがチョコをあげても喜んでくれるか正直わからない。
皆からの大量のチョコ+俺のチョコ……俺のチョコを食べる頃はきっとお腹がいっぱいだろうし、埜がそんなにチョコを食べれるわけない。
それだったら埜の好きなあれをプレゼントしたらいいよなぁと密かに思っていた。
だから普通に聞いてみたのだ。
埜にチョコがいるかどうか。
そうしたら予想通りチョコはいらないとのこと。
うん、そうだよな!やっぱりな!
それなら前々から考えていた埜の好きなオムライスをバレンタイン当日に作ってあげればいい!
まさか埜が俺からのチョコを熱望していたなんて知らない俺は、あっさりとオムレツに頭を切り替えたのだった。
料理が下手な俺はハッキリ言ってオムライスをちゃんと作れる自信はない。
でも作ってあげたいなぁ~
できれば当日にびっくりさせてあげたいから埜には内緒にし、斎さんに相談してこっそり準備していたのだ。
オムライスを埜に作ってあげたいと斎さんに言ったら超喜んでアドバイスしてくれた。
喜んでくれたらいいなぁと思っていた矢先、どうやら俺は風邪をひいたらしい。
咳はでないけど喉が痛い。
仕事をしている埜に移したらと思うと、キスもできないので埜の誘いも受けることができずにいた。
はぁ……キスはしたいけど、今は我慢だ。
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