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夜も深くなり、屋敷の中は静まり返っている。こんな時間にエリオットを訪ねるのはフィルのモラルに反するため、彼は主人の元へは向かわなかった。 その代わり向かったのは、忌々しいあの男の部屋だ。 「この…悪趣味野郎…っ」 ノックもせずに扉を勢いよく開き、中へ倒れこむようにして入る。ルッツは椅子に座って読書をしていた。入ってきたフィルに驚く様子もない。 「こんな時間になんだ」 「クソが…! とぼけるなよ! お前が変なことエリオットさまに頼んだんだろ…!」 あれから熱が引くことはなく、疼く体のままやっとの事でここへやってきたフィルの呼吸は荒かった。頰は赤く、じっとりと汗が滲んでいる。 その姿にルッツは小さく笑った。 「言いがかりはやめてほしいんだがな。お前の体が俺にしか反応しないようにしてくれ、など、そんなこと頼むわけがないだろう」 「…ンの野郎っ」 その言葉で確信する。やはりこの男の仕業だったのだ。フィルはカッと目を見開いて、ルッツに飛びかかる。 だが、やはり結果は今朝と同じだ。あっさりと腕を掴まれ、床に倒される。 「辛そうだな? 何も知らないまま、また女でも抱きに行ったんだろ。ちょうどいいじゃないか。その体ならもう他所でだらしのないことが出来なくなるのだから」 「冗談じゃねえよ! じ、自分の手ですらどうにも出来ないんだぞ…っ。こんな悪趣味な仕打ちありかよ!」 蓄積されたもどかしさは次第に我慢できないほど大きくなり、吐き出すことしか考えられなくなるほどだ。自身が痛いほど脈打ち、透明な液体が次々溢れて下着を汚していく。 「ということは、お前は俺にされたことを思い出しながら興奮していたわけだな」 「ち、違う…! お前がそうしたんだ…」 「そもそも俺を想像しなければそんなにはならない筈だろう。違うかブラッドロー」 「違う…! これは、ただ…」 生理的なものだろう、フィルの瞳には涙がたまり、それが端の方から垂れていく。顔を真っ赤にしながら荒い呼吸を続けるフィルは、見ているだけでも楽しめた。 「じゃあ、なぜここに来た。まさか文句を言いに来ただけではないだろ。お前がきちんとお願いできるなら、楽にしてやらないこともない」 「ぁ…く、くそ…っ」 ルッツの力は強い。だが、手加減しているのが分かる。これくらいなら逃げ出せる、なのに、体が動かない。 「ちゃんと俺の名前を呼んで、正しい言葉遣いで、強請るんだ」 「ぅ……ぁ、」 耳元で囁かれ、ゾクゾクと何かが這い上がる。両足の間にぐっと足を入れられ、固くなったそこを押されると無意識に喉を仰け反らした。 「お、お願ぃ、します…っ。はぁ…、触って…っ」 「なに?」 「ふぅ、あ! やめ…っ」 ルッツの長い指が首筋を這う。それだけで筋肉が強張り、無意識に跳ねる体にフィルは目を見開くことしかできない。 だが、1番触れてほしいところはいたずらに膝で押してくるだけだ。 ーーちゃんと、触ってほしい…。出したい…っ。 意思に反して両足が開き、できるだけ快感を拾えるような恥ずかしい格好になる。ルッツのにやけ顔に、自分がどれだけ無様なのかを思い知らされるがそれすらどうでもよくなるほど体の疼きは大きくなっていく。 「る…ルッツ、さまっ。触って、は、ぁ…触って、ください…」 最悪だ、最悪だ、最悪だ。けど、楽になりたい。 涙で歪んだ視界に、怪しい笑みを浮かべたルッツがいる。そのギラギラとした瞳に捕らえられた、思わず唾を飲む。 「仕方ない犬だな」 そう言って体を起こされ、すぐ横にあるベッドへと投げ飛ばされた。

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