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第7話「風紀委員会は彼の味方」
茜雲に言われてから機嫌悪い勇魚を横で見ながらも風紀委員会室へ向かう。
ほぼ全員がランチで人が少なくなっているので歩きやすかった。
初日の内の建物の内部はほぼ頭に入っているでその道通りで歩いていく。
すると勇魚は途中で知り合いらしきクラスメートを見かけたのか声をかけられたのか、突き抜けとなっている廊下の下から呼ぶ声が聞こえて返事を返している。目の前には丁度その下へ降りる階段もあることから
「茜雲、俺こっちから教室戻るわ」
階段を指して言うので、茜雲は小さく笑うと頷いて
「いいよ。勇魚を連れ出すためだったし、何も義兄に会う必要ないだろう?お世話になっている風道に戻れば嫌でも会うだろうしね」
そういうとそのまま手を上げるとそのまま階段を急いで降りてきた。
友人達も下から勇魚を呼びに行っているようだ。
(・・・勇魚少し性格ツンデレだからな・・・心配したんだけどそれなりにいい友人出来ているな。まぁ着々と区切り出来る用意は整っているな・・・)
降りて行った友人の背中を見ながら茜雲は風紀委員会室へと向かう。
生徒会室が4階の東にあるに対して、風紀委員会室は西側にある。
その間の部屋は盛大な図書室だが、規模としては市営の図書館規模だ。
ここは中等部の生徒も利用できるので、たまに中等部の制服も見かけるそうだ。
だがそれでも茜雲は風紀委員会室の扉前につくと
「伊利也、来たよ」
その一言と同時に目の前の重そうな扉が開いた。
中から伊利也が扉を開けたようで、その作動は騎士そのものだ。
茜雲は何も言わずに入ると同時に締めた。
生徒会室よりはこじんまりしているが、それでもプライベートを守るべき
専用個室の部屋もあったりして、作業室は基本的にこじんまりしているようだ。
すると伊利也は目の前のソファに茜雲を誘導するソファを案内すると
そこへ素直に座った。その反対側に伊利也も座っていく。
彼が座ったのを確認すると茜雲は
「そういえば、彼らは役に立っているみたいで、”彼”も喜んでいたよ」
にっこり笑う様に言った。すると伊利也は近くに用意されている紅茶セットを用意しながら
「ああ、随分助かってます。特に書記の柚木は助かってる。今まで使えない役員が多かったが、彼がどんどんさばいてくれるので、皆プライド刺激されようだが、さっさと首にしたよ。何人かは下っ端でいいから責任とって
働かせてくれとは言ったからやらせている。まぁ、富岡もあの秤の弟弟子だ。
情報管理もしっかりされている所為で、一切漏れてない。
やつらは空白の副委員長を気にしているが、”彼”はまだ参加厳しいのか?」
入れた紅茶を茜雲の前に出して言うと茜雲は
「あ・・・ちょっと編入試験で色々あったみたいで、ただ、新入生歓迎会には間に合わせるそうです。人数がどうしても余るので、彼の編入が避けられないんですよ」
そう告げると、伊利也は自身の分の紅茶を手に持つと
「随分時間かかっているのだな・・・と思ってな。まぁ弟はミセスマダムの管理エリアの生徒なのが一つ救いだが」
そういうと入れた紅茶を飲んだ。茜雲も紅茶を素直に受け取ると
「・・・アールグレイですか?これ」
尋ねるように聞いた。すると伊利也が
「先日イギリスにいる叔父貴から新鮮な紅茶の葉が取れたと頂いてな。おばあさまもご満足だそうだ。”女帝”は日本茶かもしれないが、おばあさまからのプレゼントですと先日届けにいったところだ」
そう告げると、紅茶を飲んだ茜雲は
「女帝、日本茶以外で飲むとしたら、ロシアンティーとイギリス紅茶だけですからね。それ以外はほぼ口にしませんよ」
そう言うと伊利也はだろ?と首をかしげる。
すると茜雲は飲んでいたコップをテーブルに置くと
「取りあえず今どこで詰まっているんですか?」
尋ねた。
茜雲の言葉に、伊利也もこっぽを置くとそうだな・・・という顔をすると
「やはり副理事長の存在が邪魔だな。まぁ、そちらに関しては俺は理事長に任せてほしいというので任せてるが、思ったよりも風紀の動きが活発になりすぎてやつらが切れてるのが2件目。後は、やはりどうしても現場へのアクセスが悪い・・・か?」
指を折りながら言うと、茜雲は
「・・・副理事長に関してはすでに”あいつ”に頼んでいるので、確信さえ取ればどこかの行事でぶちこむつもりです」
そう告げると伊利也の目が見開いた。それを見越してか茜雲は
「・・・”裏”の事情は僕がまとめてますから、心配しないでください。まぁ顔合わせするなら早くても集会だろうと。なんでこんなに坊ちゃん学校って集会したがるんですか?意味わからないです」
理事長の叔父からもらっている情報を聞いて言うと伊利也は
「俺も集会はいらないと思うんだが、何分大金が動くし、同時に生徒に親のお金のありがたみを分からせようと思うんだろうけど、
特進には無駄な気がしてしかたない」
そう告げると、茜雲はソファに思いつきりもたれた。
(本当に金持ち坊ちゃんの思考が解らない・・・)
そういうと溜め息を付きながらも、伊利也も同じ考えなのはよく分かったので、茜雲は
「・・・分かりました。取り敢えず新入生歓迎会は通常運転してください。”彼”は最後の駒なので、隠しておくといいでしょう?」
そういうとそのまま残っている紅茶を飲み切ると、立ち上がると
窓際に寄った。そして窓を開けると
「では、あとよろしくお願いします」
そう告げると窓から飛び降りた。
「・・・全く、瑠射といいどうして普通に扉から戻らないか・・・幸い誰もいないからいいけど・・・そろそも4階から飛び降りてその下にある木を利用して無傷で降りれるのは茜雲とうちの”お庭番”位だぞ・・・まあ、八木の兄もこれぐらい平気らしいから・・・やはり”悪魔の血”が与える能力は人間離れしているな・・・代価もあるが」
そう告げると、委員が戻ってくるまでに怪しまれない様に窓を閉めた。
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