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第4話

「でも奏多ちゃん、ママが恋しくなったりしないの?」 「まあ今より全然小さかったし、覚えてないと思いますよ」 もう何度目の質問かと晴の表情が一瞬引きつったが、内心呆れながらも毎度の同じを答えを返した。 「奏多が俺の言葉を理解してくれるようになったらちゃんと話すつもりですけどね」 この話が始まると決まって、嫁をもらえと続くのを知っている晴は鳴ってもいないスマホの画面を見て電話だといい、パソコンのメールチェックを終えてその場から離れた。 母親がいた方が奏多にとっていい事なのだと分かってはいるのだが、晴の気持ちが動くことはない。奏多の事を思うと心が痛んだがそれだけはどうしても変わらなかった。 奏多と2人で生活するようになってからやめた煙草の代わりにポケットに入っているガムを口に放り込み作業へ入った。 慌ただしく仕事をこなしているとあっという間に昼の時間。 自分のデスクに戻った晴は家から持ってきたカップラーメンを取り出しお湯を入れるとスマホをいじりながら3分待つ。 適当な時間で蓋を剥がして啜れば、慣れすぎた味にたまにはちゃんとした昼食を食べたいものだと思った。 あまり食に拘りの無い晴は、自分で食事を作るようになってから、夕食以外の食事、主に昼食は毎日カップラーメンだなんて週もざらだ。 昼食を取りながら夕飯のメニューを冷蔵庫の中身を思い出しながら考え昼休みを終えるとまた作業に戻った。 午後も集中して仕事をしていれば時間はあっという間に過ぎ、退社時間になった。 「お疲れでしたー」 タイムカードに打刻すると時刻は18時を回ろうとしていた。 「間に合うかな」 奏多の通っている保育園は、18時半を過ぎると延長保育時間になってしまう。なるべく延長保育にならないように気を付けている晴は車を走らせ保育園へ急いだ。

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