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第6話
ハヤシライスとサラダをテーブルに並べて食べはじめれば、数日ぶりに見る奏多のいい食べっぷりに晴はホッとした。
食器を片付ける足で浴槽の湯張りボタンを押して、今日は夜の内に洗い物をした。
「奏多、そろそろお風呂入ろ」
「やーだー」
大好きなブロック遊びをしている奏多は晴からプイと顔を背けた。
「パパとお風呂に入る人ー?」
「……ヤダッ!」
またしても拒否されてしまったが、わざとらしくニコニコと言う辺りが憎めない。
お風呂に入り終わり、パジャマに着替えさせ髪の毛を乾かせば、奏多は眠そうに目を擦っている。
「ねんねしよっか?」
小さく頷いた奏多は晴の抱っこにべったり体を預け布団に寝かされると欠伸をした。
「おやすみ」
灯りを暗くして、奏多が寝付くまで側にいてやる。
今日は10分もしないで寝付いたようで、寝顔を確認した晴はそっと部屋から出て行った。
時刻は21時半。
「ああ、今日も疲れた」
リビングのソファーへ体を沈めて横になりながらテレビをつけてスマホをいじる。
ゲームアプリを起動させ、立ち上がるのを待っていると、突然着信音が鳴り晴はびっくりした。
「こんな時間に誰だ…って知らない番号」
見知らぬ番号に出ようか出まいか迷ったが、仕事関係だとまずい。晴は通話をタップし耳にあてた。
「はい」
「あ!俺!つか今から出てこれねえ?飲み行こうぜ」
「……」
「あれ?もしもーし?聞こえてる?おーい、達久ー」
知らぬ声と話の内容から間違い電話のようだ。
「電話間違ってますよ」
「えっ、うっそ!?マジ!?押し間違えたかな」
こんな時間にいい迷惑だと冷静に答えると、電話の男は慌てるようにブツブツ何か喋り続けている。
「切りますね」
「あ、スンマセンした…」
溜息をついて、耳からスマホを離そうとした時だ。
「ちょっ!待って!」
離しかけたスマホから大声が聞こえ、晴は何事だと眉間に皺を寄せながらスマホを再び耳にあてた。
「てか、どっかで聞いたような声だな…達久の番号の前後つったら…」
また相手の声が遠退き、スマホの画面でも確認したのかすぐに驚くような、嬉しそうなバカでかい声に晴の耳が痛んだ。
「え、もしかして晴?晴だよな!俺!俊貴 !同じ高校だった!」
俊貴。
この名前に覚えがないと言えば嘘になる。
高校時代にバカ騒ぎをやった内の1人。一番仲の良かった奴だ。
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