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第28話
家に帰らなかった真木は蓮条と二階堂の家に向かっていた。
彼に上級生らの事も話したかったし見舞いに行きたかった。
「おい、いいのか?」
「何が?」
「お前の兄貴心配すんじゃねぇの?」
「ほっとけ」
いつもより不機嫌の真木にはぁっと1つため息をつく蓮条は思う。
こう不機嫌になるときはいつも兄貴が関わっていると……。
だが分からなくはない。
あれだけ完璧な存在がすぐ近くにいるのはストレスだろうなぁと少し同情する。
そうしている間に二階堂の家に着いた。
「そっか大変だったね。」
彼は案外元気そうで三人わいわい騒いでいた。
家に帰った真木は母親からこっぴどく叱られた。
「あんたはいつもいつも問題ばかり起こして!!玲にまで迷惑かけて全く、もうお母さんは面倒見きれないわ!!」
真木に声を荒らげるのを玲が宥めるもそっぽを向く真木が余計に火に油を注いでしまい長い説教を食らうも最後は母も諦めて匙を投げた。
「大丈夫か?真木………。」
心配する玲に真木はイライラした。
なんでそこまで自分の方を持つのかとそう聞くと玲は笑ってこう答えた。
「そりゃあ真木が可愛くて仕方無いからだろ。」
「………ぷっ。」
あまりにも一貫してぶれない彼に流石の真木も笑ってしまった。
「サンキュ兄ちゃん。」
「真木……!?」
どんなことがあろうと味方でいる。
ある意味恐ろしいが同時に彼の存在は最後の砦なのかもしれない。
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