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第50話
「はは…これヤバイな………。」
ナイフ事件は先生達も疑って悪かったと無事誤解が解け平穏な毎日が過ごせるかと思ったが
そう簡単に行くわけがなかった。
その理由は今返された赤点の期末テスト。
数学と英語に至っては一桁の点数。
この点数は家が荒れそうだ。
「お~流石遠矢お前凄いなこの点数。」
蓮条が真木のテストを覗いてきて苦笑いしている
「見んな!!てかお前も俺のこと言えねーじゃん!!」
蓮条のテストも真木と似たようなもので
二階堂に至ってはすべて一桁の点数という……。
これは夏休み3人揃って補習決定だろう。
そして玲はというと真木とは対照的にほぼ満点で学年トップだ。
そしてそれに次いで2位が篝。
「兄ちゃん……俺ヤバい。」
「大丈夫!!母さんには俺からも言うからさ。」
確実に母に説教されるであろう真木に
玲は母さんに許してもらえるよう言うからと味方してくれる。
何処まで過保護なのか……。
兄は優しい。
それに頭も良くて弟である自分を一番に大切にしてくれる。
だから大好きだ。
しかし大好きだからこそ嫌いでもある。
「全くあんたは何なのこの点数!!
いつもいつも迷惑ばかりかけて。
少しは玲を見習いなさい!!」
「母さん、真木だって頑張ったんだ。
だからそんな怒らないでくれよ。」
「貴方は黙ってて!!
貴方は真木を甘やかしすぎなのよ。
いいわ、夏休みは遊びに行かせない。
次のテストでいい点数取れるよう勉強よ。」
夏休みは缶詰めの宣言。
だがこうなったら母は考えを変えることはない。
「ちょ、母さんそれは。」
「いいよ兄ちゃん……、
やりゃいいんだろう……。」
「真木……。」
兄が嫌いだと思うときはこんなときだ。
必ずテストで比べられる。
母も父もこんな自分より頭のいい兄ばかり褒める……。
自分だって以前は頑張ってた。
けれどどれだけ頑張っても兄には勝てないのだ。
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