意識してない内に兄に嫌いだと言うそんな目を向けていたのか？ その気持ちを知っていて、それでも好きでいてくれてたのか？ ｢お、俺……俺…は……。｣ なのに自分は嫌いだと本人にはっきり言ってしまった。 本当に最低だ。 ｢ごめ……なさ……｣ 悔しさ、罪悪感、憎悪、愛しさ、 色んな感情がごちゃ混ぜでそれがいっぱいいっぱいになって涙となって溢れた。 ｢いいよ、真木は悪くない。 ごめん…俺が真木を苦しめてたんだ。｣ 彼はずるい……。 当然のように真木を許して、まるで自分を悪役のようにするんだから。 そうやっていつまでも子供扱いして甘やかすんだ。 そっと真木の頬へ伸ばされた大きな手がとても暖かかった。 ｢……兄……ちゃん。｣ ｢ほら笑って？ 真木は泣いてるより笑顔の方が可愛い。｣ 真木の頬を包む手を真木の一回り小さな手を重ね笑顔を向ける。 ｢うん、良くできました。｣ 玲の大きな手が真木の頭を撫でる。 本当にいつまでも子供扱いだ。 １つしか歳が違わないのにその存在は真木の中で今でも物凄く大きい。 ｢でも……｣ そんな玲が真木を見て何か言いたそうにしている。 ｢…何？｣ ｢笑ってる真木もいいが泣いてる真木も興奮するな。啼かせたくなる。｣ ｢…………。｣ うん、この男はこう言う奴だよな。 忘れる所だった。 ｢あ、や、嘘、冗談だって。な？ だからそんな遠くを見るような目しないで!!｣ ｢うるせぇやっぱ嫌いだ!!｣ ｢ぐはっ!!｣ 真木の重たい一発を腹に受けてノックアウトの兄、玲……。 それでも自分にとってこの大きな存在は大切なものなのだと認識させられた。 ｢兄ちゃん……好きだよ。｣ 彼の頬へそっとキスをした。