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第59話
この後、真木と玲は母親と話し合って
問題を起こさずきちんと卒業してくれればもう何も言わないと母に言われた。
多分諦められたというのが一番だろうが
母自身も少し言い過ぎたと思う部分もあっただろう。
それでも、何も言われなくなるならせめてちゃんと卒業しようと思った。
玲が真木のために色々やっていてくれたものに報いる為にも……
その想いは既に報われたと感じているのは玲だ。
なんせ付き合うことを考えてもいいと言われたのだから。
もう、嬉しすぎてニヤけが止まらない。
「兄ちゃんキモい。」
夕飯を食べてる最中つい笑みが溢れ真木からはドン引きされているがしかたないだろう?
可愛すぎる真木がいけない。
そんな中、父が箸を置き口を開いた。
「そう言えばもうお盆だろう?
明日福岡に里帰りするからお前達も準備しときなさい。」
「はぁ?」
明日父の実家へ帰ると急過ぎる事を言う父に息子二人は唖然。
父はこういうことをいきなり言い出す悪い癖がある。
前もって言えないのだろうか?
しかし、お盆と言う事は十中八九玲の気に入らないあいつも来るだろう。
「俺も行くの?」
真木が機嫌悪そうに尋ねる。
「当たり前じゃない皆待ってるんだから!!」
母がサボらないようにと釘を刺す。
真木の場合は親戚に自分の髪の色や成績をとやかく言われるのが憂鬱のようだ。
因みに玲は真木とは違う理由で憂鬱だ。
何故なら会いたくないあいつと会わなきゃならないからだ。
折角真木と親睦を深めようと思ったのに
ゆっくりイチャつく暇も無い。
「はぁ……。」
玲のため息は虚しく消えた。
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