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第86話
「そういや水族館なんていつぶりだろ?
てかそもそも行ったことあったっけ?」
「ああ、一度な。俺が4歳でお前が3歳の時。」
「覚えてねーよ。」
「俺もほとんど記憶に無い。
うろ覚えしかないから、今回が初めてみたいな感じで楽しめばいい。」
そんな会話をしながら水族館へ着いた。
入場料のお金を出そうと財布を出すと玲が俺が払うからいいと真木の分までお金を出した。
「それくらい自分で出すから。」
「いいって俺が出したいんだか……ら……。」
玲が何かに気がついてそちらをじっと見てる。
真木もつられて彼が見てる方へ目をやると
"浴衣でお越しの女性入場料無料"
と書かれた看板があった。
「真木、浴衣買ってから行くか?」
「いやあれ女限定だから!!」
「いや、真木なら行けるかと……」
「行けるわけねーだろこの変態!!
大体入場料より浴衣の方がたけーじゃん!!」
「チッ……」
チッて言いやがった玲に対しこっちが舌打ちしてぇよと真木の頭に怒りマークが浮かぶ。
入場料は自分で払うつもりだったが今ので馬鹿らしくなり玲に払わせることにした。
外でもたついてしまったが、無事水族館へ入っていった。
浴衣だと無料と言うことで浴衣の女性の人が多いし、それにカップルが多い。
何処もかしこも手を繋いでる男女ばかり。
俺だって可愛い彼女と……
そう思う真木は隣にいる玲をみてため息をついた。
そんな中で真木の手をぎゅっと握ってきた玲。
「に、兄ちゃん?」
「人多いしはぐれないように!!」
「俺そんなガキじゃねぇし。」
「うん。じゃあ俺が繋ぎたいだけ。
いいだろ?デートなんだから。」
「………っ‼
デートじゃねぇし。」
キレイな笑みを向けられ思わず目を逸らした真木の顔は真っ赤に染まっていた。
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