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第94話
「嫌だってば!!離せよ!!」
暴れまわる真木に遂に女子たちは痺れを切らした。
「ああもう煩いわね。
いい加減観念して大人しくしなさいよ。」
「そうよ、こっちだってヒマじゃないの。
アンタのせいで押してんのよどうしてくれるの?」
「…………す、すいません。」
女子の威圧感に気圧されあっさり屈してしまい
もう諦めるしかない。
「でも楽しみよね‼遠矢君可愛いし作り甲斐があるって言うか。」
「てか細ーい!!女の子みたい。」
女みたい………傷つく一言をさらっと……。
採寸をしながらさっきとはまるで別人のように
キャッキャ話してる女子。
ほんとに女子って凄い……。
「女装コンテストもあるし気合入っちゃう!!」
「ねー!!絶対優勝よね!!」
今聞き捨てならない事を聞いたのだが気のせいだろうか?
「何その女装コンテストって?」
「あれ知らないの?
最早この学校の伝統みたいなもので
毎年やってるのよ?」
「いや知らねぇし聞いたことねぇよ
え、何、俺出るの?」
「当たり前じゃない
遠矢君以外に可愛い子なんていないでしょ?」
いや、知らない。
いつの間にそんな話になってんだ?
「なぁ…それ辞退しちゃダメ?」
「ダメよ!!絶対優勝するんだから!!
そう言えば去年は誰だっけ優勝したの?」
「確か卒業生の和田先輩よ
部活の先輩が言ってたんだけどその人めっちゃ美人だったらしいわよ」
「聞いた聞いた!!それにゲイで遠矢先輩に告白したらしいわ!!」
遠矢…先輩?
もしかしてそれって……。
「なぁ、それって。」
「そうよ、貴方のお兄様。
でもフったみたいよ?他に好きな人いるとかって」
好きな人、それはつまり俺のことか?
ブラコンなあの兄が恋人を作るなどありえない。
「そうなの?誰だろ遠矢先輩の好きな人って。
てか恋人とかいるのかな?ねぇ知ってる遠矢君?」
「え?さ、さぁ……?」
真実など口が裂けても言えない……。
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