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第95話

文化祭の準備はまだまだ終わらない。 真木の場合はセリフを覚えなければならないのだ。 「まあなんて美味しそうなリンゴ~。」 「ちょっと、何なのよその棒読み。 真面目にやってよね‼」 「……。」 めんどくさそうに台詞を言うと監督役の女の子に怒られる。 ああ、なんでこんな事をしなければならないのか憂鬱で仕方ない。 「もう一回最初から。」 「え~マジかよ……。」 こんな感じで女子から扱かれながら放課後も中々帰ることすら出来ず台詞や動きの練習を繰り返しもうヘトヘトだ。 それに人一倍不満を抱くのは玲だ。 玲も放課後まで文化祭の準備に捕まり、真木との時間も削られ爆発寸前だった。 それもあってか玲のクラスメートがこれはヤバいと、玲が何をするか分からないと早々に切り上げ真木のクラスへ迎えに来た。 「真木、迎えに来たぞ。」 「兄ちゃん!? いや、もうちょっと掛かりそうなんだけど。」 なんせ女子達が特に張り切っていて観客数1位を狙っているのだ。 そんな簡単には帰らせてはくれないが玲に取ってはそんなことはどうでもいいのだ。 「ねぇ、弟を返してくれない? いいよね?」 真木のクラスメートに対して有無を言わせない口調で笑顔でお願いすると、女子達はあっさりと頷いたのだ。 「え、うそ……。」 帰りたいと言っても帰らせてくれなかったのにこの差はなんだと驚く。 まぁでもとっとと終らせられるのならいいのか……?

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