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第97話

問題なく進む白雪姫。 だが普通の白雪姫とは違うのは白雪姫役が男の真木と言う事だろう。 演技としては正直大根なのだがそれをカバーするほどの容姿に皆が見入っていた。 そして一番の見せ所と言っていいだろう王子とのキスシーン。 それはつまり、真木と蓮条のキスシーンになるのだがこれが一番憂鬱で仕方がなかった。 一応"フリ"だけとなっているがそれだけでも一大イベントだ。 寝ている真木の真上から蓮条の顔が近づいていくが、真木は堪らず目を開けてしまい目の前蓮条の顔に思わず吹き出してしまう。 すると観客席からはキャーと言う歓声なのか悲鳴なのか分からない声が聞こえる。 「おまっ、何して!!」 吹き出してしまった真木の唾がかかった蓮条はふざけるなとパニックだ。 だが無情にも物語は淡々と進みまるで何事も無かったかのように二人を置いてきぼりにさっさと終わってしまったのだ。 「お前、覚えてろよ……。」 結局真木と蓮条への歓声と爆笑と言うなんとも後味の悪い状態で閉幕した。 そして舞台裏へ戻ると蓮条が真木に詰め寄ってくる。 「悪かったって。 でもさ、あんなん吹き出すに決まってんじゃん!!」 目の前にいきなり友人の顔がどアップでキスしそうな態勢になっていたら気持ち悪いと思うだろう。 「ホントてめぇはよ……。 反省してんだかしてねぇんだか。」 するとそんな中、ざわざわと騒がしいので何事かと見てみると裏方に沢山の人がやって来ていた。 「あ、遠矢君!! 一緒に写真撮って欲しいんだけど!?」 「俺とも撮ってよ!!」 なんと真木の白雪姫を見て写真を撮りたいと言う男女が殺到し、囲まれてしまった。

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