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第98話

囲まれてしまった真木はどうやってここを抜け出すかと少しパニックになっているところに 誰かに腕をガシッと掴まれその場から連れ出された。 「お、おい…。」 いきなり連れ出され、人気のないところにたどり着きようやく手を離され その人が誰なのかを知る。 「大丈夫か真木?」 「え、に、兄ちゃん…?」 なんと真木を連れ出したのは兄、玲だった。 「てかどうしよ。 抜け出して来ちゃったんだけど。」 「別にいいだろ。 あんな変態どもが湧く所に真木を置いておけるか!?」 「アンタが言うなよ変態!! てかなんでいんの?」 確か彼の所も出し物で来られないはずなんだが。 「うん?そりゃ真木の勇姿を見に抜け出したに決まっているだろ。」 飄々とそう語る兄に唖然とするが、あの状況で連れ出してもらったので文句も言えなかった。 「兄ちゃんの所の出し物いいの? てか何やってるんだっけ?」 「うちはお化け屋敷やってる。 真木も行くか?」 「行く!!なんか面白そう。」 もう劇も終わったし遊んでも平気だろうと言うことで兄とお化け屋敷の所へ。 しかしここで重要なことに気がついた。 周りの人がこちらをチラチラ見てくるから何故だと自分の姿を見ると そう、まだ衣装を着たままだ。 兄に着替えたいと言ったところ勿体無いと言われた。 「やっと戻ってきた。」 お化け屋敷の所へやって来たと同時に篝の声がした。 「恭也、なんだ?」 「なんだじゃないよ。 どうせサボって真木君の所へ行ったんだろうと僕が探しに行ったんだよ?」 「あっそ。」 「君は……。」 そっけない兄ちゃんの言葉に苛立った様子の篝。 まぁそりゃそうだろうな。 こんだけ迷惑かけていれば。 「まぁいいよ。 それより、可愛いね真木君。」 篝が目線をこちらに変えて真木の顔を覗き込んできて それに対して玲がグイッと真木の手を自分の方へ引いた。 「うわっ!!」 「真木に近づくな変態。」 「それ、君に言われたくないんだけど。」

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