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第110話

「兄ちゃん。」 真木の囁くような声がしたと思ったら次の瞬間、自分の唇に触れる柔らかなぷるんとした彼の唇に我慢できずに玲は真木の口を舌でこじ開ける。 「んっ……はぁ……ぁん…」 そして一所懸命背伸びしてキスに食らいついてくる姿がなんと健気なことか。 こんな可愛い真木が見られるならいっそ思う存分楽しもうじゃないか。 「ぁ……ん……はっ……」 暫く真木の味を堪能したところで唇が離れ銀色の糸が引いてプツリと切れる。 「真木どうした? やけに積極的だけど。 いや、お兄ちゃんはものすごく嬉しいんだが。」 「…………。」 そう質問するもうつむいて何も答えてくれないから真木の顔を覗いてみると恥ずかしそうに顔を赤く染めていた。 「真木?」 「……べ、別に……何となくだよ。 悪いかよ?」 上目使いで悪いかよ?なんて言われて悪いなんて言えるわけがない。 ヤバい、今すぐ襲いたい。 今まで1度も真木としていないのはこいつを大切にしたいと思ってるからだが そろそろ俺も我慢の限界だと玲は内心焦る。 いやいや、まだ早い 焦るな俺、我慢だ俺!! 下手に襲ってみろ?そんなことをしたら真木に嫌われるだけだぞ!? そう自分に必死に言い聞かせる。 「兄ちゃん?」 「なんだ真木?」 「ぼーっとしてどうした?」 「いや、真木が可愛いなぁと思っただけ。」 「……‼」 すると真木は顔を赤くして照れている。 可愛い。 「なぁ兄ちゃん。」 「ん。」 「あのさ、早く家帰りたい……」 ああ、もう無理だ。

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